犬山紙子さん

掲示板サイト「発言小町」に「団塊世代の親にしてもらったことを、子どもにもしてあげるのは無理だと思いませんか」と投げかけるトピ。「確かに」とうなずいてしまいます。 今は、昔に比べて手取りが下がっているのに対し、物価は上がり、大学の授業料も値上がり。留学の費用なんて薄目でしか見られないくらい高額に。今より将来が良くなる見通しも持ちづらい。いくら子育て支援制度が生まれても、なかなかギャップは埋まりません。親が家を買った年齢や子どもを持った年齢を考えると「親、すごすぎる」と思いますが、時代も随分変わったんですよね。 トピは「私の親はしてくれた」という妻の意見に夫が「それは無理」という相談なのですが、しかしながら妻の気持ちもわかるのです。子どもをより良い環境で育てたいと願うのは、不安定な社会の中で子どもには幸せになってほしいという気持ちの表れじゃないですか。 夫婦で気持ちをまずは認め合えるといいですよね。頭ごなしに「現実を見ろ」ではなく、妻にはこれまで子どもの様子を間近で見てきたからこその理由があるとも思います。いったん、話を互いに傾聴して「確かにできたらいいよね」「実際問題、使えるお金に限りがある。どうしようか」と、争うのではなく落とし所を見つける方向の話し合いに持っていく。 妻が働く時間を増やすという方法もありますし、教育にまつわる情報を夫婦2人が主体となって収集することで見えてくるものもあると思います。その前に、もう大学生となったお子さんの意見を先に聞いておくことも大切ですよね。 しかし、この原稿を書いていると「そりゃ少子化するわ」とどうしても思ってしまう。意見をいうべき先は国なのかもしれません。（エッセイスト・タレント　犬山紙子）