5代目「996ターボ」は水冷化された初めての 911ターボとして、歴史に刻まれる【ポルシェ 911ターボ 50周年の道程⑤】
第5世代:996ターボ(1999-2006)水冷DOHC化、ATなど、911ターボの歴史に残る新機軸を導入
ポルシェ 911ターボが登場してから今年で50年。ポルシェ911のハイパフォーマンスの象徴ともなってきた「911ターボ」の軌跡をたどる短期連載企画、今回は初めての水冷化で注目された第5世代を紹介しよう。 【写真はこちら】ワイドなボディや大きなリアスポイラーなど、カレラと明確に差別化(全6枚) 第5世代のポルシェ 911ターボ「996ターボ」が登場したのは1999年のこと。ポルシェは911ターボ25周年にあわせて、1999年のフランクフルト国際モーター ショーで 996世代のポルシェ911ターボを発表した。 「996ターボ」は最初のボルトから最後のボルトまですべて新しく、エンジンはついに水冷式4バルブDOHCフラット6となり、トランスミッションは6速マニュアルに加えて、オプションで5速ティプトロニック S オートマチックを設定、ポルシェ セラミック コンポジット ブレーキ (PCCB) も初めて装備された。 その最高出力は309 kW (420ps)、最大トルク560Nmに達し、0→100km/h加速4.2秒は当時の911 GT3よりも速かった。それまで生産された中で最速の公道走行可能な911となっていた。 その強大なパワーを路面に最大限に伝えるために4輪駆動は必須となり、最高速度305km/hの911ターボは「300km/hクラブ」に加わることになった。 シャシも一新されてホイールベースは2350mmに拡大。そのデザインはワイドなボディや大きなリアスポイラーなど911ターボの典型的な特徴を備え、カレラと明確に差別化されていた。
カブリオレに続き、ハイスペックモデルも導入
たとえばフロントバンパーの3つの大きな空気取り入れ口が示唆するようにラジエーターの総面積は自然吸気の911カレラよりも50%大きくなり、リアエンドには新しい伸縮式リアウイング、959のようなエアアウトレットが取り付けられていた。 このモデルの人気がポルシェの予想を上回ることはすぐに明らかになり、計画生産数を年間2500台から4000台に上方修正、2006年に生産を終了するまで2万0499台をラインオフした。 なお、2003年夏から、1987年以来初めて911ターボカブリオレが登場、2005年にはクーぺとカブリオレに高性能な「911ターボS」も追加された。「911ターボS」にはセラミック コンポジット ブレーキが標準装備されていた。 【ポルシェ 911ターボ(1999)[996ターボ] 主要諸元】 ●全長×全幅×全高:4435×1830×1295mm ●ホイールベース:2350mm ●重量:1540kg ●エンジン:水冷・水平対向6 DOHCツインターボ ●排気量:3600cc ●最高出力:420ps/6000rpm ●最大トルク:560Nm/2700-4600rpm ●トランスミッション:6速MT/5速AT ●駆動方式:4WD ●最高速:305km/h ●0→100km/h加速:4.2秒
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