関東大震災前年の震源を追加 2019年度中に気象庁地震カタログ100年分へ
「100年カタログ」目指して
関東大震災は、1923年9月1日の正午前に発生した関東地震(M7.9)によって引き起こされた大災害。内閣府防災がまとめた報告書によると、死者(行方不明者を含む)10万5385人、全潰全焼流出家屋29万3387棟。火災による被害が激しく、旧東京市の大規模火災による犠牲者は6万5902人に達した。 関東地震は、フィリピン海プレートと北米プレートの境界である相模トラフが震源となった海溝型地震と考えられている。この地震の震源に比較的近い場所の地震としては、浦賀水道の地震のほか、茨城県南西部の地震(5月9日発生、M6.1)の地震があった。ただ、いずれも関東地震の震源より深い太平洋プレート上面で発生した地震と考えられ、関東地震との関連は分からないとしている。 地震カタログは毎年1年分増えていくため、このままでも残り数年で地震カタログは100年分たまることになる。しかし、気象庁はそれを待たず、1919~1921年の地震調査原簿の再解析を進めることで、来年度中に地震カタログを「100年カタログ」として公表したいとしている。 地震予知情報課の石垣祐三調査官は「調査原簿を収集し、データを入力して、複数の地点のデータを照らし合わせて震源を決定していくという地道な作業になる。ただ、これまで分からなかった地震の震源の深さなどをはっきりと科学的根拠に基づいて決定していくことは、地震研究を進めるうえでの大事な基礎データをつくることでもあり、とても重要だと考えている」と話している。 飯田和樹/ライター・ジャーナリスト(自然災害・防災)