関東大震災前年の震源を追加 2019年度中に気象庁地震カタログ100年分へ
気象庁が、過去に発生した地震の震源などを記した地震カタログを改訂し、関東大震災の前年の1922年に発生した地震の震源などのデータを追加したと発表した。東京大学地震研究所などに保存されていた地震観測の記録などの再解析を進め、これまではっきりとわかっていなかった地震の震源を決定した。 関東大震災の発生は1923年9月1日。カタログの内容が1年さかのぼったことで、関東大震災が起こる前年の地震についてこれまで以上に把握できるようになり、海溝型地震と内陸の地震の関係などについての研究などを行う上での基礎データとして活用されることなどが期待される。
関東大震災前の記録の多くは焼失
気象庁の地震カタログはこれまでに何度も改訂されているが、観測網の整備状態や時刻の精度など、古ければ古いほど観測データの質は低くなる。このため、気象庁には全国の測候所、気象台から報告された地震の検測結果を整理し記載した地震調査原簿が保管されているが、仮に観測の記録が残っていても、すぐに震源を決定することは難しい。 しかも、気象庁が保管していた関東大震災が発生する以前の調査原簿、つまり1923年8月以前のものは焼失してしまっていたため、これまでは震源を決定することが極めて困難だった。 しかし、気象庁は東京大学地震研究所などに保管されていた地震調査原簿をかき集めることで、データの改訂を目指した。同地震研究所に保管されている当時の地震調査原簿をくまなく探すことから始まり、そこに記された最初のカタカタとした少しの揺れ(P波)と、その後のぐらぐらとした大きな揺れ(S波)を観測した時刻、あるいはP波が到着してからS波が到着するまでの時間(初期微動継続時間)などを詳しく調べていくことで、記録が残されている地震の震源を調べていった。 その結果、関東大震災の前年の1922年に発生した地震の震源を可能な範囲で決定することができたという。地震カタログに新たに追加できた地震の数は159。この中には東京、横浜で死者2人を出した浦賀水道の地震(4月26日発生、M6.8)や長崎県で26人が亡くなった長崎県千々石付近の地震(12月発生、M6.9、M6.5)がある。この年は日本周辺でM7.0以上の地震が3回あるなど、やや地震活動が活発な年であったことなどが分かったという。