暴走バイク、県内摘発4倍 免許取得容易、ブーム再燃か
●1~10月・71人、目立つ10代 前年ゼロの金沢西署、48人 不正に改造したバイクや車を乗り回したり無免許運転したりしたとして、石川県内で若者が摘発される事案が急増している。石川県警は今年1~10月、道交法違反などの容疑で前年同期比約4倍となる71人を摘発。このうち金沢西署による取り締まりが48人(前年同期ゼロ)を占め、ほとんどが10代の男女によるバイクの違反だった。関係者によると、背景には二輪免許を取得しやすくなったことや、バイクブーム再燃の可能性があるとされ、違反がエスカレートすれば集団での暴走につながる恐れがあるとして、県警は警戒を強めている。 県警によると、摘発の大半が排気音を大きくするための消音器不備や整備不良などの道交法違反で、無免許運転、信号無視といった悪質な違反もあった。 車両が特定されないようナンバープレートを折り曲げた車両や可動式のプレートを取り付けての運転を、道路運送車両法違反(ナンバー隠ぺい)としたケースもあった。 金沢西署によると、暴走行為をした10代には、中高生が含まれ、白山、野々市両市の在住者もいたという。学校や友人を介して知り合い、スマートフォンで位置情報を共有して合流し、複数台で走行することもあった。 金沢西署管内は国道8号や金沢外環状道路海側幹線(海側環状)、金石街道、県道野田専光寺線など主要道路沿線に住宅街が広がり、今年に入り住民から苦情が多く寄せられた。同署協議会でも取り締まりの強化を求める声が上がっていた。 野田専光寺線の近くに住む男性(77)によると、春先から夏にかけて毎日のようにバイク2、3台が騒音を響かせながら往復していたという。この男性は「注目を集めたいのか、わざと空ぶかししとる。夏は窓を開けるからやかまして寝られなかった」と憤った。 署ではこうした若者らを「暴走行為者」と位置付け、春から通常のパトロールとは別に、暴走行為者が走行する時間帯や路線に合わせて巡回していた。 全国的に二輪車の販売数が伸びていることなどから、現在はバイクブームとされる。 2018年には排気量125㏄以下のバイクを運転できるオートマチック小型限定普通二輪免許の教習期間が短縮され、取得しやすくなっており、10代などは四輪に比べて安価な二輪に乗る傾向が強いとされる。 県警によると、現在、県内ではグループ名のある「暴走族」は確認されていない。県警幹部は「暴走が集団化する前に、迷惑性が高く悪質な違反を重点的に取り締まっていく」と話した。