「台風」特別警報の見直しへ 「気象現象」から「災害被害」の予報にかじを切る気象庁
「警報」の発表基準をはるかに超える数十年に一度の大災害が発生する恐れがある場合に、気象庁が発表する「特別警報」の中で、「台風を要因とする」特別警報(「台風要因」特別警報)の発表基準が見直されることが9日までに明らかになった。 これまで「台風要因」特別警報については、大雨、暴風、高潮、波浪といった警戒する気象現象に関係なく、「『伊勢湾台風』級(中心気圧930ヘクトパスカル以下または最大風速50メートル毎秒以上)の台風が来襲する場合」という基準があった。しかし、今後は順次、これを廃止していき、それぞれの気象現象について市町村ごとに実際に被害を想定した基準値の設定を進める方針だ。 このため検討が進めば、台風の中心気圧や強さなどをもとに発表してきた「台風要因」特別警報は、最終的に姿を消すことになる。
「台風要因」の大雨特別警報は廃止へ
2013年に創設された特別警報は、「警報」の発表基準をはるかに超える大災害が起こるおそれがある場合に気象庁が発表するもの。 気象に関する特別警報は「大雨」「暴風」「高潮」「波浪」「暴風雪」「大雪」の6種類。このうち「暴風」「高潮」「波浪」「暴風雪」は「伊勢湾台風」級の台風が来た時にだけ発表される(「台風要因」特別警報)。「大雨」については「伊勢湾台風」級という「台風要因」特別警報と、数十年に一度の大雨の時に発表される通常の大雨特別警報がある。 そして、気象庁はまず、この大雨に関するものから見直しに着手する。来年度の出水期(集中豪雨、台風などで洪水が起きやすい時期)から、「台風要因」のものを廃止。通常の大雨特別警報に一本化する。 また、通常の大雨特別警報についても、基準の見直しを進める。 気象庁はすでに昨年、市町村単位で発生しているような局所的な大雨に対しても大雨特別警報を発表することが可能になるように、基準の見直しを開始。大規模な土砂災害や水害の発生に直結する「指数」を用いた基準を、1キロ四方単位で設定する手法だ。昨年10月から伊豆大島を含む伊豆諸島北部で新基準の運用を始めているが、来年度以降、同じような新基準を運用する地域を拡大する。来年度中に全国の市町村の大半に、新基準について意見を聞いた上で、準備の整ったところから運用を開始する見込みだという。