名古屋グランパスに超新星センターバック出現 ── 菅原由勢17歳
179センチ、67キロとセンターバックとしてはサイズがやや小さい。それでも1対1における強さ、カバーリングにおける読みの鋭さ、前線へのフィードの正確さ、そして年齢に不釣り合いと言ってもいい冷静沈着さが試合を重ねるごとにスケールアップしている。 たとえば開幕戦では、武器だと自負しているスライディングをMF倉田秋にかわされた前半13分のプレーが、ガンバの先制点につながった。それでも下を向くことなく、なおかつ同じミスを繰り返さない強靭なメンタルをも宿している。 「毎試合のように、僕にとっては新しい課題が見つかっている。それらとしっかりと向き合い、ひとつひとつ直してきたことが、こういう結果につながっていると思っています」 菅原が口にした「結果」とは、先発の座を射止め続けている軌跡であり、磐田戦、湘南戦と相手を零封したこととなる。後者はスコアレスドローに終わって開幕3連勝を逃したが、それでも「34試合あるなかで、こういう試合もあると思います」と、すぐに気持ちを切り替えた。 「無失点に抑えて負けなかったことが収穫ですし、今日の試合から出た課題をまた次に生かして、という作業の繰り返しになると思うので、(引き分けを)前向きにとらえていきたい」 突如として現れた新星に対して、周囲も大きな信頼を寄せている。キャプテンを務める35歳のベテラン、FW佐藤寿人は「力がある選手が試合に出ることに、別に驚きはありません」と、ジェフ市原(当時)時代のチームメイトに菅原の姿をダブらせる。 「僕は阿部勇樹と一緒にやってきていますから。(菅原と)同じときに、彼はファーストとセカンドの試合にすべて出ているので」 現在は浦和レッズでプレーする阿部勇樹と、佐藤は市原のジュニアユースとユースで同期だった。そして、ユースの最終学年となる1999シーズンに、阿部はトップチームのレギュラーをゲット。18歳にしてJ1の舞台で全30試合に出場し、アテネ五輪代表、W杯南アフリカ大会代表をはじめとする、その後の飛躍への第一歩を踏み出した。