毎年変わる「春節」の日程がもたらす厄介な問題とは?
ここ数年1~3月の荒れ相場は、大きく変動した中国の経済指標によるもの
ところで、ここ数年は1月から3月にかけて金融市場が荒れることが多くなりました。2014年、15年は米国の寒波が影響しましたが、それ以外の要因として中国の経済指標が大きく変動したことが影響したとみられます。 たとえば、2016年は2月に発表された1月の貿易統計やPMI(企業の景況感を示す指標)が非常に弱く、統計発表当初はその理由を春節に求めていましたが、その後発表された2月データが一段と落ち込んだことで、一気に不安が噴出しました。「中国ショック」という言葉が流行したのもこの時期です。 今や中国は世界2位の経済規模を誇る経済大国ですから、その中国経済の実勢がつかみにくいとなれば、投資家の不安が増幅されてしまうのは想像に難くありません。要するに中国の春節の変動によって、1~2月の中国経済が手探り状態になるため、それが金融市場の波乱を招いているというわけです(※このように1と2月データは集計が困難なため、1~2月分がまとめて発表される指標もあります)。
なお、幸いにも2017年はそうした中国不安に市場が襲われる可能性は低そうです。中国経済は2016年の秋口頃から改善のサインが至る所で確認されており、PMIや電力消費量や鉄道貨物輸など、広範な経済指標が加速感を強めています。1~2月のデータがただちに入手できないことは投資家にとってマイナス材料ですが、中国経済に対する不安が増幅される可能性は低いと判断されます。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。