毎年変わる「春節」の日程がもたらす厄介な問題とは?
少し前の話ですが、1月28日は旧暦(太陰暦)の1月1日でした。いわゆる旧正月で、これを春節といい、中華圏の国々では大型連休となります。欧米のクリスマス休暇のようなものでしょう。2017年のカレンダー上では、中国で1月27日から2月2日まで7連休となったほか、香港・マカオ、台湾、韓国、べトナム、マレーシアなどで3~5日間の休みとなりました。なお、旧暦の太陰暦とは月の満ち欠けの周期を基にした暦で1年を354日としてカウントするものです。ゆえに、春節の休暇時期は年によって1月下旬から2月中旬くらいまでの間で前後します。 実は、この日程の変動が経済を予測するうえで、とても厄介な問題を引き起こします。それは、この春節の変動によって中国の経済指標が歪められてしまうからです。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
春節の日程の変化がもたらす経済指標への影響とは?
中国の経済指標は前年比の変化率をみることで分析することが多いのですが、春節の時期が変動することによって前年のデータと単純比較ができなくなってしまいます。たとえば、2016年と2017年の比較では、16年の春節が2月7日から13日でしたので、16年は1月がフル操業、2月は7日間が休日でした。それに対して17年は1月27日から2月2日にかけて月をまたぐ形で連休となります。その場合、前年との比較という点において、1月データは伸び率が低めに出やすくなる一方、2月データは伸び率が高めに出やすくなるため、単純比較ができません。ゆえに1-2月の経済情勢をリアルタイムで正しく把握することが困難になります。 仮に1月のデータが非常に弱かった場合、一旦はその理由が春節による経済活動の停止であると理解されそうですが、その後発表される2月のデータで期待どおりの反発がみられなかった場合、そこで漸く実体経済の悪化に気づくことになるため、注意が必要です。その場合、中国経済の見方が急激に変更を迫られることになります。