どうなる太陽光パネルリサイクル義務化…制度設計ヘ論点は多岐
経済産業省と環境省は28日、太陽光パネルのリサイクル義務化を議論する有識者会合を開き、業界団体や事業者へのヒアリングを開始した。制度設計には事業者の責任分担・費用負担などのあり方に加え、リサイクルの対象範囲、放置対策など論点が多岐にわたる。有識者による議論や事業者の意見などを踏まえ、2024年末にも制度の大枠を示す見通しだ。 ヒアリングに参加した全国解体工事業団体連合会(東京都中央区)は、太陽光発電設備の撤去・リサイクル費用について現状や課題を説明。設置場所や処理施設などの条件から「パネル撤去・リサイクル費用の平準化は困難と考えている」とし、柔軟な費用算出や不適正施工業者へのペナルティーなどを要望した。また、太陽光パネルリユース・リサイクル協会(同区)はリサイクル推進には、自治体やリサイクラーなど利害関係者の適切な情報共有が必要とした。 有識者会合では具体的な制度設計に向け「モノ」「費用」「情報」の各論点で議論している。適切なリサイクルを促進するには、ライフサイクルに関わる全ての事業者の対応が求められるとし、今後も複数事業者への聞き取りを継続するとした。政府は太陽光パネルのリサイクル制度を確立し、25年通常国会への関連法案提出を目指している。 現状、パネルを含む太陽光発電設備のリサイクルは義務付けられておらず、廃棄されるパネルの大半は埋め立て処分される。太陽光発電は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が始まった12年以降、急速に普及した。ただ、シリコン系太陽電池の耐用年数は一般に20―30年程度。30年代後半には大量廃棄が予想されることから、事前の対策が求められる。