【毎日書評】忙しい人は、時間がないはずなのに…なぜメールの返信が速いのか?
仕事でもプライベートでも、トラブルは避けられないもの。では、その根底にはなにがあるのでしょうか? この問いに対して『今すぐ伝えるコツ174 「話す」「書く」「聞く」すべてに使える技術』(石川和男 著、ソシム)の著者は、トラブルの原因の9割は「間違った伝え方」にあると指摘しています。 そして、そこには5つの原因があるのだとか。一つ目は「伝わっていなかった」。「間違った伝わり方をしていた」「伝えなくてもわかると思っていた」など、“伝えるべきことが伝わっていなかった”ということです。 2つ目は、「聞いたつもり」。相槌を打つだけで聞いたつもりになったり、相手が話している途中で遮ったりしてしまうわけです。しかしそれでは深い洞察を得ることなどできず、いい伝え方もできないでしょう。 3つ目は、「安易なことばの選択」。間違ったことばを選ぶと相手との関係を悪化させる危険がありますし、専門用語を濫発した場合、相手には伝わりにくいのです。 4つ目は、「伝わりやすい関係性がない」。無理やりつくった関係だと相手は身構えてしまい、満足な伝え方はできないということ。そして5つ目は、「伝える準備の不足」。適切な伝え方や円滑なコミュニケーションをするためには、その場だけではなく、伝える以前から準備が必要なのです。 これらの間違ったコミュニケーションがお互いを疲弊させ、人間関係も悪くします。お金まで支払っているのに嫌われる悲しいケースもあります。 これら五つの問題はすべて本書の「今すぐ伝えるコツ」で解決できます。 今すぐ伝えるコツなら、後回しせずに確実に伝えるべきことを伝えることができます。早く伝えることができれば問題点や改善点も明確になります。(「はじめに」より) そんな本書の第1章「今すぐ伝えるコツ」のなかから、きょうは「期限を決める」に焦点を当ててみたいと思います。
忙しい人のほうが、伝えるのが速い
いうまでもなく、会社では有能な人に仕事が集まるもの。そのため、できるビジネスパーソンは必然的に忙しくなります。しかし著者によれば、そんな状況下では「忙しい人のほうが、暇にしている人より伝えるのが速い」という不思議な現象が起こるのだそうです。 例えば、メールの返信。忙しい人は、開いて読んだら、その場で返す。今ここで返信しなければ、次はいつ返信できるかわからないからです。次々と仕事をこなすために、メールを開いたなら読み、その瞬間に返し、その仕事を終わらせる必要があるのです。(20ページより) 逆に暇な人は、いつ返してもいいと思って、面倒なメールは先延ばししてしまいがち。何度も日を改め、その度に何度も読み返し、やっと返信するという感じなのだといいます。いつでも返せると思っているから、なかなか文章を作成せず、返信も遅い。そのため結果的に、忙しい人より2倍も3倍も時間がかかってしまうというわけです。(20ページより)