大ケガ乗り越え“有言実行”の金メダル 体操・岡慎之助「パリ五輪が自分の心を動かした」
◇パリオリンピック2024 体操男子個人総合決勝(大会6日目=日本時間1日、ベルシー・アリーナ) 【画像】金メダルをかじる岡慎之助選手 男子個人総合で金メダルに輝いた岡慎之助選手。20歳の新王者誕生の道のりは決して簡単なものではなく、大きな試練を乗り越えての快挙でした。
■“異例”中学卒業後に社会人チーム入り
岡選手は4歳で体操を始めると、15歳で出場した世界ジュニア選手権で個人総合初代チャンピオンに。団体優勝と合わせて2冠を達成しました。 中学卒業後は強豪・徳洲会体操クラブに所属。一般的に部活で取り組む選手が多い中、高校生で社会人チームに入るのは異例中の異例でした。
■全治1年の大ケガに「悔しい」
有力な選手たちにもまれながら力をつけていった岡選手は、パリ五輪出場への期待も。そんな中、試練が訪れます。 2022年の全日本選手権。世界選手権の代表選考も兼ねるこの大会で、東京五輪代表を抑えて予選を3位で通過した岡選手。決勝もあん馬で高得点をたたき出すなど、順調に試合を運んでいました。 しかし、4種目めの跳馬、ロペスに挑んだ岡選手は着地後、苦悶の表情を浮かべながら右ひざを抱え、そのままうずくまってしまいます。
右ひざの前十字じん帯を断裂する、全治1年の大けがでした。 岡選手は当時を「これまでこれほど大きなケガはなくて、しんどいというか悔しいですね、あそこでケガをしたのは」と振り返ります。 復帰に向けた手術は怖さもあると語った岡選手。断裂した右ひざのじん帯を再建するため、左脚の腱を右脚に移植しました。 手術翌日には「昨日の夜はこの辺(右脚)がずっとマヒしててきつかった」と吐露しました。
■地道なリハビリに「正直焦りも」
ケガから3か月後の8月、私たちは岡選手の練習場所を訪れました。 パリ五輪を目指すライバルたちが演技を磨く中、岡選手は地道にリハビリを行っていました。
岡「苦しいですね。まわりがどんどん新しい技をやっていたり、難度を上げて演技をしていて、どんどん自分から離れていくと思っちゃっていて。正直焦りも出ている、ちょっとやばいなと思っています」 1日練習をしないだけで感覚のズレが生まれてしまう体操。 岡選手は、復帰後に進化した演技ができるよう、理想の演技構成や、練習メニューを記した、トレーニングノートを作っていました。