トヨタ小林可夢偉へのペナルティは「奇妙」とマイク・コンウェイ。「直線でアクセルを戻すだなんて……」/WEC第6戦
トヨタGAZOO Racingのマイク・コンウェイは、9月1日に行われたWEC世界耐久選手権第6戦で、7号車トヨタGR010ハイブリッドの勝利を阻んだペナルティについて、「奇妙」であると評した。 【写真】2位表彰台に立つ7号車トヨタの小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリース コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリースの7号車は9番手からサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でのレースをスタートさせたが、中盤には首位に浮上する追い上げを見せた。その後、最終ドライバーの可夢偉が今季2勝目へと突き進んでいるように見えたが、残り45分のところでドライブスルーペナルティが科せられた。 このペナルティ消化により7号車トヨタは2番手へと後退。首位を走る83号車フェラーリ499P(AFコルセ)を最終盤まで追い詰めたものの、1.780秒差で勝利を逃している。 このペナルティは、残り2時間を過ぎたところで致命的な問題を抱えてターン11先のバックストレート脇に停車していた94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)のために提示されていたイエローフラッグを無視したことに対して科されたもので、審査委員会のレポートには「黄旗が掲示されたときにドライバーが速度を落とさなかった」と記されている。 コンウェイは、トヨタが予想以上に好調なパフォーマンスを見せ、9番グリッドから挽回できたのはうれしいが、なぜ可夢偉がペナルティを受けたのか理解に苦しんだと語った。 「レースに臨む前は、自分たちがどこでフィニッシュするか本当に分からなかった」とコンウェイは決勝を振り返る。 「トップ5、あるいは表彰台フィニッシュできればいい、くらいに思っていた。でもレースが進むにつれて、路面がグリップしてきてペースが上がってきたように感じた」 「僕らはリードしていたので、これは勝つべきレースだった。ただ、イエローフラッグは不運だった」 「再確認が必要だが、なぜペナルティを受けたのか少し変な感じがした。シングル・イエローフラッグだったように見えたし、それは左側に停車していた車両に対するものだった。直線でアクセルを戻すだなんて……ただただ奇妙に思えるね。あれで勝利は台無しになった」 「可夢偉は勝利を取り戻そうと懸命に努力し、2秒差まで挽回したが、そこまでだった」 「ピットクルー、ドライバー、ピットウォールなど全員が良い仕事をし、そのおかげで本当に戦いに加わることができた。(勝利を争えるとは)思っていなかったから、そうすることができてうれしい」 コンウェイは予選からのトヨタの好転を「素晴らしい」と評したが、土曜日の予選でタイヤを1周以上使うことができなかったことが、2台のGR010ハイブリッドが予選で下位に終わった一因だと感じた。 「予選ではタイヤを1周しか使うことができず、デグラデーションが進んでいたので、それ以上プッシュできなかった」とコンウェイは説明した。「他のチームは楽に走っているようで、もっと周回できていたが、僕らにはそれができなかった」。 「(決勝では)路面がグリップし始めただけで、タイヤマネジメントは楽になった」 トヨタの両車は、レース中ずっとミディアムコンパウンドを使い続けたが、83号車フェラーリはさまざまな場面でハードタイヤを使用した。 「8号車は週末の初めにハードタイヤを試したが、僕らにはうまくいかないことは明らかだった」とコンウェイ。 「フェラーリ、特に83号車は右側にハードタイヤを履いていたが、僕らそうする必要はなかった」 「ミディアムタイヤはうまく機能していたよ。グリップが良く、デグラデーションもかなり良かった。トラフィックではグリップが確実に失われていたが、それは誰にとっても同じことだった」 COTAで2位になったことで、コンウェイのチームメイトである可夢偉とデ・フリース(※コンウェイは第4戦ル・マンを欠場)は、3位で終わった50号車フェラーリのクルーとチャンピオンシップで同点の2位に並び、ランキング首位のポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963からは12ポイント差となった。6号車ポルシェはこのレースで予選から苦しみ、6位でフィニッシュしている。 次戦はトヨタのホームレースである富士であり、コンウェイは日本の会場でさらに差を縮めたいと語った。 「ここまでは良いレースだった」とは語った。 「まだいくつかのエリアでは、僕らには足りないものがある。セクター1では遅かった。コーナーからの立ち上がりがうまくいかないんだ。様子を見よう。でも、富士がまた僕らにとっていいものになることを期待しているよ」 [オートスポーツweb 2024年09月02日]