認知症による行方不明は過去最多に「認知症で要介護3の母のひとり歩き」問題への対処法【社会福祉士解説】
【2】持ち物、自宅内の工夫
持ち物や衣服に名前を書いておきましょう。その際、介護者の連絡先を必ず明記しておくこと。毎日着るものには、最低1か所でも直接名前を書いたり、名札を縫い付けたりしておくことをおすすめします。万が一、行方不明になった際、迅速に連絡を取れると思います。 位置情報を知らせるGPSを利用するのも有効です。キーホルダータイプ、ネックレスタイプ、靴に取り付けるタイプなどがあるので利用しやすいタイプを選ぶとよいでしょう。 また、ドアベルや玄関センサーも効果的があります。通過するとアラームや通知を発するようにしておくと、本人が家から出た瞬間に家族や介護者がそれを察知し、迅速に対応できます。
【3】生活リズムを整える
家に閉じこもりきりで刺激のない日々を送っていると、認知症の進行やひとり歩きに繋がる原因になるともいわれます。 家庭内で家事や運動、庭仕事など本人ができることをやってもらうのがいいのですが、介護者が働いている場合は見守りも大変です。 生活リズムを整えて、適度な運動やおしゃべりができるといえば、デイサービスやデイケアなどの介護保険サービスが最適です。 日中の活動量も増え、生活リズムも整います。交友関係が広がったり、新たな役割ができたりと本人にとってよい刺激となるでしょう。 筆者の母は、小規模多機能型居宅介護の事業所が運営するデイサービスを活用していました。要介護3のときは平日週3日、要介護5では、週5日お世話になっていました。
【4】事故が危険な場合は鍵を見直す手も
筆者は働きながら母の介護をしていたため、デイサービスがない平日にはやむを得ず母ひとり留守番をしてもらわなければならない日もあり、窓ガラスを開けて外に出てしまう危険もあったため、鍵の対策をしました。 窓や玄関など防犯対策のグッズは色々と出回っていますが、我が家は鍵の専門店に依頼し、どのようなタイプの鍵が適切か、予算も確認しつつ相談しながら対策をしました。
もしも家族が行方不明になってしまったら…
もしも家族が行方不明になった場合、何よりも先に「警察へ届ける」ことが大切です。迅速な対応は本人の安全を守るために非常に重要です。 警察に連絡するときは、次のことを聞かれますので確認しておきましょう。 ・氏名・年齢・性別 ・行方不明になった日時と場所 ・服装や持ち物 ・身長・顔の形・体格・髪型・髪の色など外見の特徴 ・名前や住所を言えるか など また、地域包括支援センターへの届出も効果的です。東京都は地域包括支援センターに届けると、都内の他の区市町村や近隣の各県へ一斉に周知してくれます。 そのほか、厚生労働省から、行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へというサイトも公開されています。 都道府県内で保護されている身元不明者の情報が掲載されていますので、これらも参考にしてみてください。 ★厚生労働省「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000052978.html また、季節に合わない服装をしていたり、不安そうに歩いていたり、「認知症かな?」と感じる高齢者を見かけた場合、最寄りの警察署に届けるか、110番通報して警察官が来るまで一緒にその場で待っていてあげましょう。その行動が命を救うかもしれません。