忙しくて本が読めないすべての「働く読書人」にとって必読の一冊をレコメンド!
――「忙しくて本が読めない」という方に向けて、何か実践的なアドバイスはありますか? 三宅 「買ったらすぐ読む」ですかね。本を買った直後って本を読むモチベーションが高いですよね。私も兼業時代は、書店に行って本を買った帰りには、喫茶店に寄ってすぐ読むようにしていました。オススメです。 ――本書の発売を告知したX には180万以上インプレッションがついて、発売前重版が決定するなど、大きく話題になりましたね。印象的な反応はありましたか? 三宅 「働いてると本が読めないということは、この本も読めない」という投稿を見て、予想どおりの反応が来た!と思いました(笑)。でも、最近本を読めていない方々が久しぶりに読書を再開するきっかけになったらうれしいですね。ぜひ気になる章だけでも読んでみてください。 あと、積ん読は私もしていますし、悪いことではないと思います。本書にも書いていますが、思わぬ形での読書の入り口にもなりえます。なので、いったん積んでもらっても大丈夫です(笑)。いつでも読めるタイミングで開いてみてください。 ●三宅香帆(みやけ・かほ)1994年生まれ、高知県出身。文芸評論家。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』(サンクチュアリ出版)、『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない―自分の言葉でつくるオタク文章術―』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(角川文庫)など多数 ■『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』集英社新書 1100円(税込)「仕事で疲れて、本を読む気力が湧かない」「せっかくの空き時間にもスマホやYouTubeばかり見てしまう」......そのような悩みを抱えている人は多い。「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのだろうか。自らも兼業での執筆活動を行なってきた著者が、日本人の読書史と労働史をさかのぼる。各時代のベストセラーから社会情勢を読み解き、「働きながら本が読める未来」を構想する、渾身の著作! 取材・文/Mizuki Takeuchi 撮影/樋口 涼