「男性は私1人だけだった」 着物学校に入った黒人男性が苦労した結果得た「かけがえのないもの」
「着物について本当に知りたいのなら、資格をとった方がいいですよ」と彼女は教えてくれた。ジョンソンさんは彼女のアドバイスに従い、ハクビに入校した。そして、すぐに着物学校で男性が着物の勉強をするのはめずらしいことだと知る。 実際、ジョンソンさんが資格を取得するために直面した最大の難関は、伝統的に女性が支配してきた芸術を学ぶという固有の障害だった。すべての授業で唯一の男性であったため、ある種の通常の勉強方法は立ち入り禁止であった。
「通常、女性は教室で一緒に着物の着付けを練習します。でも、半裸の女性でいっぱいの教室で、着付けを手伝うわけにはいきません」と彼は笑って話す。「できるわけない! セクハラ訴訟待ったなしですよ。着物を着せるためには、私の手は彼女たちの体中を触れないといけないのですから」。 この問題を解決するため、講師の1人である80歳の女性は、プライベートではマネキンを使って教えた。しかし、最終的には、ダミーではなく、実際の女性、つまり将来の顧客に対して、実地で行うことで学ぶ必要があった。そこで彼は友人たちと練習した。
「男性である私にとっての課題の1つは、どうすれば女性の体中を手で歩き回らずに、あるいは、本当に触れずに、これを行うことができるかということでした」とジョンソンさん。 「もちろん、先生であっても同様の敬意を払わなければなりません。特に胸のあたりやお尻のあたりは、私よりも少し余裕があります。だから、そうした部分に手が近づかないようにするにはどうしたらいいか、自分で考えなければなりませんでした」 「なので、『あなたはここを押さえて。私がここを挟みます』とか、『私がここを抑えるので、あなたはここを自分で挟んでください』とか、そういう伝え方をするのです。そうすることで、着付けをする人と共同作業をすることができました。そして、着付けを受ける側と協力関係を築くことができ、気まずい状況を避けることができました」