2024年の高校生ベストナインを選出! 超高校級のパフォーマンスを見せたのは【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.51』】
今年の高校野球は大きな盛り上がりを見せた1年になりました。選抜では健大高崎、夏の甲子園では京都国際が初優勝を収めました。今年最後のグラカンはこの1年、高校野球を盛り上げた選手をベストナイン方式で選出させていただきました。 【動画】藤田の剛速球とカーブ 投手:藤田 琉生(東海大相模) 捕手:箱山 遥人(健大高崎) 一塁手:原田 純希(青森山田) 二塁手:高山 裕次郎(健大高崎) 三塁手:高橋 徹平(関東一) 遊撃手:石塚 裕惺(花咲徳栄) 外野手:モイセエフ・ニキータ(豊川) 外野手:藤原 佑(大社) 外野手:濱本 遥大(広陵) まず藤田投手についての選出理由については、右肩上がりの成長を見せたことです。まず藤田投手にとっての成長の起点となったのは、2年秋の県大会準決勝で横浜に逆転サヨナラ負けを喫しました。ここでスタミナ不足を痛感した藤田投手はトレーニングだけではなく、投球フォームの修正に取り組み、二段モーションに取り組みました。春では1対0の完封勝利を果たし、先発完投型の投手へ成長。課題だったストレートのスピードもこの夏は最速149キロを計測し、しっかりとスケールアップしました。激戦区の神奈川を制して、夏の甲子園でもベスト8入り。変化球も優れた大型左腕として最もワクワクする投球を見せてくれました。 箱山捕手を選んだ理由としては、健大高崎を日本一に導いたキャプテンシーです。選手に対して厳しく接したといいます。憎まれ役になりながらも、選抜優勝。なかなか勝てなかった鬼門の夏を制して、群馬大会優勝を収め、甲子園に出場しました。甲子園では2回戦敗退に終わりましたが、報われて本当に良かったと思わせる選手です。選手としても高校通算35本塁打、強肩とすべてにおいて高いレベルを見せていました。トヨタ自動車でプレーしますが、競争を勝ち抜いて、目標であるプロ入りを叶えてほしいと思います。 原田選手はスラッガーとして輝きました。夏の青森大会準々決勝の八戸学院光星戦では2本塁打を放ち、その本塁打を映像で見た時、新基準バットに関係なく、飛ばした当たりは見事でした。甲子園では3回戦の石橋戦で、バックスクリーン横へ運び、今年の甲子園でみた本塁打の中では最もインパクトがありました。一塁手で文句なしの打撃を見せていたので、選出をしました。 高山選手は選抜、夏の群馬大会、夏の甲子園、U-18大会でも頼れる活躍を見せ、チームの危機を救うタイムリーを放っていました。高い打撃技術と安定した二塁守備と、総合力は今年のセカンドでもNO.1の選手ではないでしょうか。 高橋選手は夏準優勝した関東一の主将としてチームを牽引しました。春は都大会4回戦で 敗れ、都大会の抽選会で再会しましたが、練習試合でも負け続きでなかなか苦労したといいます。それでも夏の大会を見ていくと、パワフルな打撃が復活し、本塁打も量産していました。そして夏の甲子園準々決勝の東海大相模戦では藤田投手から豪快な本塁打を放ちました。新基準バットで打った瞬間、本塁打と確信できる打球は初めてみました。三塁守備もうまく、ベストナインに相応しい選手ではないでしょうか。 石塚選手は今年の遊撃手の中では最も打てた選手として選出しました。夏の埼玉大会では26打数12安打1本塁打11打点、打率.461と優勝に大きく貢献し、甲子園では初戦敗退に終わりましたが、U-18大会では17打数5安打6打点と速球投手に対しても強打を発揮していました。U-18の打撃練習では大学生を見ているような打撃をしていました。守備も安定感があり、プロでの活躍が楽しみです。 モイセエフ選手は今年の高校生左打者ではNO.1だと思います。夏前の打撃練習ではミート中心のスイングながらも逆方向や、バックスクリーンに飛び込む当たりを見て、驚嘆しました。その後、いろんなドラフト候補の打撃練習を見てきましたが、同じくらいのインパクトがあったのは石塚選手ぐらいです。選抜甲子園では新基準バットの第1号を放ち、どの大会でも成績を残してきました。 藤原選手は夏の島根大会で12盗塁を記録した俊足打者として注目を集めていました。夏の甲子園の第1打席でライト前ヒット。アウトになったものの、二塁を果敢に狙う姿勢に惹かれました。甲子園では15打数3安打に終わりましたが、4盗塁を記録した脚力は前評判通りでした。このベストナインは打撃メインで選出していますが、足で最も魅せた選手として選ばせていただきました。 濱本選手はいぶし銀のような活躍を魅せました。夏の甲子園の熊本工戦ではしぶといタイムリーを打っていました。この選手の印象が変わったのは夏の甲子園後のU-18の合宿です。シートノックではセンターからキャッチャーまでダイレクト返球を見せる正確なバックホームを幾度も続け、高い守備力、走塁技術を披露し、選出されたのもうなづけるパフォーマンスでした。大会に入れば13打数8安打の活躍と、大きく評価を上げました。 今年の全国大会、地方大会、見応えがありました。多くの選手達の活躍が高校野球を盛り上げたと思います。来年は世界大会が沖縄で開催されます。面白い1年になるかなとワクワクしております。来年もキラリと光る高校球児を取り上げていきたいと思います。