酷暑でも球児の本音「甲子園だけが批判される」「クーリングタイムは正直、逆効果」「試合の流れが…」感じる“世間や高野連とのギャップ”
大社旋風に早稲田実業の内野5人守備。神村学園の同点を阻止した関東一の“奇跡のバックホーム”。そして、史上初となるタイブレークで決着した京都国際と関東一の決勝戦。今夏の甲子園は1点を争う好ゲームの連続だった。 【写真】「足を痛めて担架に乗る選手が続出…」欠かせない水分補給…“酷暑甲子園のリアル”やハンカチ王子だった斎藤佑樹、大谷17歳など名選手の球児時代を見る
炎天下の甲子園の是非…球児の耳にも聞こえてくる
大会が進むにつれて試合に焦点は移ったが、夏の甲子園開幕前は「酷暑」の話題が中心だった。気温が低い時期に開催をずらせないのか。甲子園ではなくドーム球場に会場を変えられないのか。球児の体調を考慮し、炎天下の甲子園で開催する意義に疑問を投げかける声は小さくなかった。 こうした声は当然、聖地を目指す球児の耳にも聞こえてくる。甲子園誕生から100年の節目となった大会で選手宣誓の大役を担った智弁和歌山・辻旭陽主将の言葉は、“雑音”を封じたい思いも感じられた。 「宣誓、僕たちには夢があります。ここ甲子園で日本一になることです。100年前、この地に甲子園球場が誕生し、それ以来、全国の球児がここでプレーすることを夢見てきました」 ひと昔前とは質の違う暑さに直面し、日本高校野球連盟は近年、対策を進めている。投手の球数制限や白いスパイク着用の許可。今大会は初日から3日目まで午前と夕方に試合を分ける2部制を試験的に導入した。5回終了後に設けた「クーリングタイム」も熱中症対策の1つだった。
クーリングタイム後に試合の流れが変わるケースが
10分間のクーリングタイムは、選手が空調の利いた部屋で体を冷やしたり、シャーベット状の飲料を飲んだりする時間となっている。アンダーシャツやユニホームを着替える選手もいる。 このクーリングタイムが流れを左右する試合は多い。 3回戦で関東一に2-3で敗れた明徳義塾・馬淵史郎監督は「クーリングタイム明けの6回に動く試合が多いと感じています。6回表に投げる投手は特に難しい」と語っている。 実際、関東一の試合でも6回表に決勝点を奪われている。 明徳義塾の先発・池崎安侍朗投手は先頭打者に対して明らかなボール球が続いて、この試合2つ目の四球を与える。すかさず、馬淵監督がマウンドに伝令を送る。しかし、続く打者にバスターを決められて一、三塁とピンチが広がり、後続に勝ち越しのタイムリーヒットを許した。馬淵監督は試合後、こう話している。 「6回のクーリングタイムからの守り。うちも相手と同じように6回に点を取ったことがあります。6回は先攻の方が良いと感じています」
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