【Q&A】愛知独自の“緊急事態宣言” 政府「宣言」と何が違う?
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、安倍晋三首相は4月7日に「緊急事態宣言」を出し、東京、大阪など7都府県を対象地域としました。一方、感染者数が多いものの愛知県は対象地域に指定されませんでした。これを受け、愛知県の大村秀章知事は政府に対して対象地域に同県を指定するよう求めるとともに、10日には県独自の“緊急事態宣言”を出すと明言しました。同じ緊急事態宣言という文言ですが、政府が出すものと県が出すものはどう違うのでしょうか?
Q:政府が出した「緊急事態宣言」とは?
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく宣言で、安倍晋三首相が7日に発出しました。宣言を出す際には、(1)国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れがある(2)全国的かつ急速なまん延により国民生活・国民経済に甚大な影響を及ぼす、あるいはその恐れがある――の2要素が認められる必要があります。
Q:宣言が出されて、私たちの生活にどういう影響があるの?
首相が指定した都道府県の知事には、さまざまな権限が付与されます。例えば、住民に対して外出自粛を要請したり、学校、映画館、劇場、音楽ホールや人が集まる施設に対して休業要請したり、仮設の病院を設置するために土地を収用したりできるようになりました。 実際、東京都の小池百合子知事は安倍首相の宣言後、すぐに外出の自粛を都民に要請しました。施設の使用制限についても速やかに行う必要があるとの姿勢を示しています。
Q:都ではこれまでも週末・夜間の外出に対して自粛要請してきた。これまでの自粛要請と何が変わるの?
これまでは知事による「お願い」でしたが、首相が緊急事態宣言をしたことにより、特措法による公的根拠ができました。強制力は伴いませんが、メッセージ性は強まるとの見方があります。
Q:愛知県の大村知事が10日に、県独自の“緊急事態宣言”を出すと言っています。
言葉が同じなので分かりにくいのですが、県が`宣言`を出したとしても、法的根拠を持ちません。大村知事は、これまでも週末に東京や大阪に行かないよう県民に移動自粛を呼び掛けてきました。今回出すとされる宣言には、県内の移動自粛などが盛り込まれる見通しですが、基本的にはこれまでの自粛呼び掛けの範囲だとみられています。
Q:知事が単独で出した“緊急事態宣言”としては、北海道の例もあります。
鈴木直道・道知事の宣言(2月28日)にも法的根拠がなく、あくまで道民に対する知事の呼び掛け・お願いでした。鈴木知事による宣言も、大村秀章知事が県独自で出すとされる宣言も、法に基づいていないという点で、安倍首相が発令した「緊急事態宣言」とは大きく異なります。