【ニッポンの性】5年以上セックスしていない「セカンドバージン」、どうやって脱出するの?
セックスから長年遠ざかっていたアラフォーが久々にセックスするのには勇気がいる。裸を見せるのも抵抗があるし、そもそもやり方を忘れてしまった、という人もいる。5年以上ご無沙汰だった彼女たちが「セカンドバージン」を脱出して再びセックスをした正直な感想を恋愛コラムニスト、さかいもゆるがレポート。 セックスが欧米に比べてそこまで重要視されない日本では、パートナーがいてもいなくても「長年ご無沙汰」という話は珍しくない。特に女性は男性と違って、出さないと溜まるという物理的な支障もないためか、気がついたら5年以上していない、という「セカンドバージン」は私の周りでも多いのだ。 アラフォーになると久々に裸体を人前に晒すのにも勇気がいる。性欲がそこまで強くなければ、もうこのままセックスしないで死んでいくのかもしれない......などと、ぼんやりとした危機感を抱きつつも、新たなパートナーをみつける面倒臭さの方が勝って、結局セカンドバージン歴を更新する---となりがちなのかもしれない。 もちろん、セックスは"しなければならないもの"ではない。だから長年していなくても何も問題はないというのは前提の上で、長期間セックスなしで過ごしていたアラフォー以上の女性が久々にセックスを経験したとき、メンタルや身体にはどんな変化が起きたのか? そこに心理的な壁はあったのか? どう脱して、どう乗り越えたのか? 脱・セカンドバージンした3人の女性たちに聞いてみた。
Aさんの場合:7年ぶりのセックスは相変わらず無感覚。
そもそも性欲を感じたことはなかったというAさん(38歳)は、20代の頃からセックスは恋人が望むから応じるだけの作業、というスタンスで生きてきた。「元々ロジカルな性格なので、恋をするときも性的魅力というよりは知的さに惹かれて、『素敵』ベースで付き合うんですよね。そういう相手と動物的な感じにはなれなくて」。相手を喜ばせるために感じるフリはするものの、快感を覚えたことはなく、触られてもくすぐったいだけの完全に「無」の状態。行為中は常に冷静な自分が俯瞰で自分を観察している感覚があるという。 25歳の時に同棲した恋人とは、4年間交際したうち、最初の1年以降はレスに。仕事で忙しくて夜の誘いを断るうちに、誘われなくなった。別れた原因はレスではないという。その後、35歳で6年ぶりに同僚に紹介された男性と"脱セカバー"を果たした。「3ヶ月くらいデートしたあとに、大晦日は彼の家で一緒に過ごそうということになって。きっとそういう流れになるんだろうな思いました」。 6年ぶりのセックスって、すごく緊張しそうだ。どんな気持ちでその瞬間を迎えたのだろう。「30代になった自分の身体って、他人から見てどんな感じなんだろうとか考えましたね。SABONでスクラブを買ったり、腹筋したりして、その時に備えてはいました(笑)」。 意気込んでいたわりに、行為の最中はやっぱり「無」。また冷静な自分が顔を出してしまい、「恥ずかしくてニヤニヤしちゃって。『何がおかしいの?』って聞かれましたが、たぶん向こうはキレていました。『せっかく自分なりにムードを作ったのに......』と」。その後はLINEの連絡回数も減少して疎遠になってしまったとか。 その2年後に婚活をスタートして、アプリで知り合った男性と交際した際には週1で会うたびに関係を持っていたけれど、彼女の方からスキンシップを求めることはなく、それを指摘され、LINEでフラれたという。感じる演技はしていたつもりでも、「楽しくなさそうだよね」と言われてしまったそう。そこからさらに2年が経ち、彼女のセカンドバージン歴は約2年。「友達と、よく『ハプンしないね』って話しています」。ハプンは、英語のHappenのこと。出会いがあっても、それが恋にまで発芽しない。40代も視野に入ってきた現在では、出産&結婚願望は薄れ、「いつかパートナーができたらいいな」という考えにシフトした。 「いつかまたセックスしてオーガズムを感じる機会が持てたらいいな」という思いと、「このまま前回のセックスが人生で最後になるのかもしれない」というある種の焦燥感。それは、ある一定の年齢以上でシングルの人ならば誰でも感じるものかもしれなくて、とてもリアルに思える。セックスとは、しようと思えばいつでもできるようであり、一方で相手があることなのでいつ「ハプン」するかわからない、不確定なものだからだ。