「うつ病予防に効果的な食事」はご存知ですか? 摂取すべき食品・栄養素を紹介!
ビタミンとアミノ酸の重要性とは?
編集部: うつ病は、食事内容によって予防することが可能ですか? 種市先生: 規則正しい食事や栄養バランスの取れた食生活によってリスクを軽減することが可能です。例えば、地中海食(新鮮な果物、野菜、全粒穀物、オリーブオイル、魚、ナッツなどを主体とした食事)は、うつ病のリスクを低減する効果があるとされています。これは、抗炎症作用と栄養バランスの良さによるものと考えられています。また、ビタミンとアミノ酸の摂取が重要と言われていますね。 編集部: なぜ、ビタミンを摂ることがうつ病予防につながるのですか? 種市先生: ビタミンを摂ることは神経伝達物質のバランスを保ち、脳の健康を保つために役立ちます。神経伝達物質は、感情や睡眠、食欲などに影響し、うつ病の予防において重要な役割を果たします。ただし、ビタミンの摂取だけでうつ病を完全に予防できるわけではなく、バランスの取れた食事や適切な運動、十分な睡眠、ストレス管理など、ほかの健康的な生活習慣と組み合わせることが重要です。 編集部: アミノ酸の効果についても教えてください。 種市先生: アミノ酸も多くの神経伝達物質のバランスに関わっています。特に、トリプトファンというアミノ酸はセロトニンの合成に必要なアミノ酸で、セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる、うつ病の予防には欠かせない神経伝達物質のひとつです。また、チロシンやフェニルアラニンというアミノ酸は、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の合成に必要で、気分の調節や注意力、集中力の向上、気力に影響を与えるため重要と言えます。
今日からできる食事改善の方法とは?
編集部: 具体的に、どのような食材がうつ病予防には良い影響を与えますか? 種市先生: 先にお伝えした「オメガ3脂肪酸」を多く含む食品には、サーモンやマグロ、サバ、アンチョビ、チアシード、クルミなどがあります。セロトニンを作るために必要な「トリプトファン」を豊富に含む食品としては、鶏肉や卵、チーズ、豆腐、レンズ豆、ナッツ、種子類などが挙げられますね。「ビタミンB6」「ビタミンB12」「葉酸(ビタミンB9)」を豊富に含む食品は、全粒穀物や緑葉野菜、レンズ豆、豆類、肉、魚、卵、乳製品などです。エネルギーの生成に必要な「鉄分」を多く含む食品には、赤肉や鶏肉、豆類、ほうれん草などがあります。 編集部: 手軽に良質なビタミンやアミノ酸を摂るためのアドバイスはありますか? 種市先生: 果物や野菜、全粒穀物、ナッツ、種子、豆類、低脂肪の乳製品、魚、肉など、さまざまな食品群を組み合わせることで、必要なビタミンを自然な形で摂取できます。何かひとつの食材やサプリメントなどに頼るのではなく、バランスの良い食事が望ましいですね。 編集部: その他、うつ病予防の食事についてアドバイスがあれば教えてください。 種市先生: 健康的な食事の基本は、「規則正しく多様な食品から栄養を摂取すること」です。これは、うつ病予防だけでなく、生活習慣病の予防にもつながります。生活習慣が不規則になり、ストレスを感じる、体調を崩すなどにより、うつ病の発症につながる場合があります。うつ病を予防するためには食生活をはじめとした健康的な生活習慣の獲得が重要です。