元カレとお揃いのグラスを重機で破壊! 「想い出の解体工事」を体験してみた
メンタルの切り替えに有効な「破壊セラピー」
メンタルコーチの増田篤紀さんに「想い出を解体する心理的作用」についてお話をうかがいました。 ――過去の想い出を引きずってしまうのは何故なのでしょう? 人が過去の想い出を引きずってしまう理由は主に2つ。 1つ目は僕たちは無意識のうちに比較してしまうためです。誰かと比較して幸せを感じられないときに他者と比較してしまうのと同じように、自分の幸せだった過去と現在も比べようとします。 2つ目の理由は現状に満足していないから過去を引きずってしまう、という理由。脳の特徴としていまないものにフォーカスしてしまいがちだという特徴があります。 "いま"ないことを意識してしまうとき、"過去に"あったことへの執着が生まれ、あのときはよかったという感情のギャップがメンタル状態にマイナスの影響を与えます。 ――今回のイベントのように、想い出の品を破壊する"破壊セラピー"は、どのような種類のストレスに有効ですか? イライラしてものに当たる、という言葉があるくらいイライラするとものを破壊したいという衝動に駆られることがあります。一般的にやってはいけないとされていることをやってしまいたくなる状態というのは感情のコントロールがうまくできていないときです。 イライラやモヤモヤでうまく感情のコントロールが効かないな...と実感があるくらいストレスレベルが高まっているときは破壊行動という非日常な体験を通して、気持ちを解放することでメンタルの切り替えに期待ができます。 ――効果は一時的になりそうですが...実際どうなのでしょう? 人によって効果が一時的になってしまうケースも当然あるとは思いますが、非日常の体験や経験というのは脳に強く残ります。脳が長期保存する体験は強い感情が伴った体験です。破壊という行動自体が気持ちが晴れてスッキリするという感動体験につながれば長期的な効果も見込めると思います。 ――とはいえ、日常生活では破壊のハードルは高いように思います。身近に同じ効果を感じられる行為はありますか? 断捨離という言葉が一般化してきているようにものを手放すことが手軽にできるストレス軽減の手段でおすすめです。物理的な整理は心の整理にも効果的で、執着から解放されるような感覚をもたらしてくれます。 ――つらい記憶を引きずってしまう人へのアドバイスなどありますか? いまに目を向けていきましょう! とエールを贈りたいです。僕たちはどうしても "あるもの"に目が行きがちです。自分にはないものを持っている他者や、いまないものを持っていた過去など。 ストレスがかかるときはどんなときかというとコントロールできないものを、コントロールしようとするときです。他者や過去はコントロールできません。 コントロールできることはいまの自分。いまの自分の行動で未来は変えていけるという事実に向きあいながら一歩ずつ未来を切り拓くための行動を積み重ねてみてください。 そして、いま手に入れているものが必ずあるはずです。普段当たり前のように感じている平和や健康、親しい友人や支えてくれている家族など。身近にあるものに目を向けながら幸せを味わってみてください。