自転車「酒気帯び運転」来月から罰則…「飲んだら乗るな」意識低く、死亡事故も
一杯飲んで、自転車に乗っていませんか――。自転車の酒気帯び運転に罰則を設けた改正道路交通法が11月1日に施行される。これまでも酒を飲んで運転することは禁止されていたが、利用者の意識は低かった。事故は後を絶たず、兵庫県警は法改正を知ってもらい、飲酒運転をなくすことを目指す。(岡さくら) 【図表】自転車の運転を巡る改正道交法のポイント
懲役や罰金刑に
2日夕、神戸市東灘区の路上で、東灘署員が行き交う自転車を呼び止めていた。飲酒検査も実施。酒を飲んで運転していた人はいなかったが、60歳代の男性は「これまで少し酒を飲んで乗ったこともあった。考えを改めたい」と語った。
5月に成立した改正道交法で、自転車の「酒気帯び運転」に、3年以下の懲役または50万円以下の罰金とする罰則を設けた。これまで深酔い状態の「酒酔い運転」のみに罰則があった。
これまで警察は「酒気帯び運転」には警告しかできず、ある捜査関係者は「職務質問で酒の臭いがしても、検査までしていなかった」と打ち明ける。
死亡事故も
だが、酒を飲んで自転車に乗って、重大な事故になるケースもある。県内では、死亡事故も起きた。
香美町で6月、水路で男性(65)が亡くなっているのが見つかった。傍らには乗っていたとみられる自転車。美方署が調べたところ、男性の血液からアルコール分が検出されたといい、酒を飲んで自転車ごと転落したとみられる。
2021年12月には、神戸市長田区で、酒を飲んで自転車に乗っていた40歳代の男性が、赤信号で停車中の車に追突。救急搬送された。同年6月には、70歳代の男性が友人と飲食店で瓶ビール3本を飲み、帰宅中に転倒。呼気から基準値の3倍以上のアルコール分が検出されたという。
県警によると、13~22年に全国で発生した自転車の過失が最も重かった事故で、飲酒していなかった場合で死亡・重傷となった割合は16・3%だったが、飲酒していた場合では30・8%に上り、約2倍になっている。
車に乗る時と同じ
事故を起こさなければ、酒を飲んで自転車に乗っても発覚するケースは少ない。県警が昨年、「酒酔い運転」で摘発したのは5件だけで、「酒気帯び運転」で警告したのは78件にとどまる。