特殊詐欺203件に悪用か 「闇バイト」で電話回線サービス提供容疑
埼玉県警は31日、「闇バイト」に応募し特殊詐欺グループにIP電話回線利用サービスを提供したとして、会社員樫村郁容疑者(29)=神奈川県平塚市万田1丁目=と会社役員桜庭貴志容疑者(43)=名古屋市中川区笈瀬町2丁目=を詐欺幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕し、発表した。樫村容疑者は「警察の警告により電話番号が詐欺に使われていることを知りましたが、事業を続けていました」と容疑を認め、桜庭容疑者は「全く関係ないと思います」と否認しているという。 【写真】詐欺幇助(ほうじょ)の容疑で逮捕された樫村郁容疑者(中央)=2024年10月31日午前9時59分、所沢署、宮島昌英撮影 組織犯罪対策3課によると、樫村容疑者は詐欺に使われると知りながらIP電話回線の利用サービスを提供し、桜庭容疑者はサービスで使うサーバーを設置するなど詐欺の手助けをした疑いがある。 9月13日に埼玉県所沢市の女性(82)が300万円の被害にあった特殊詐欺事件でこの回線が使われたことから、2人が浮上したという。樫村容疑者の提供した電話回線では、9月9日~10月2日の間に13都府県で計203件、約3億2千万円の詐欺被害が確認されているという。 両容疑者は、SNSで「闇バイト」の投稿を見て応募し、サービスの提供などをしていたという。県警は、秘匿性の高い通信アプリで特殊詐欺グループの指示役から指示を受けていたとみている。 樫村容疑者は、事業に必要な電気通信番号使用計画を作成せず総務省の認定を受けていなかったとして、電気通信事業法違反容疑でも逮捕されている。(恒川隼)
朝日新聞社