エスカレーターの片側空けはマナー?なぜ「2列になって立ち止まる」がいつまでたっても定着しないのか
条例で「歩かず立ち止まる」義務づけも…
近年、エスカレーターの乗り方について条例で定める自治体も出てきました。2021年には埼玉県、2023年には名古屋市が、歩かずに立ち止まって乗ることを義務づける条例を施行しました(罰則はなく努力義務)。 斗鬼さんは、埼玉県、名古屋市ともに「現状の劇的な改善は見られない」としながらも、「多くのメディアがこの条例を取り上げたため、片側空けのリスクをたくさんの人に知らしめる良い機会になった」と評価。さらに、鉄道各社による注意喚起を「走らないで」ではなく「立ち止まる」に統一するなど、「共通のメッセージを用いたキャンペーンを展開していく」必要性も強調します。 斗鬼さんによると、片側空けをやめるのに最も効果的な方法は「物理的に不可能にする」こと。「例えば、麻布台ヒルズのエスカレーターのように(ステップの幅が狭い)1列タイプに取り替えていく。また、条例で違反した場合に罰則規定を設けるのも手っ取り早いかもしれません。ただ、取り替えには費用がかかりますし、歩く“犯人”を補足するためのカメラを増やせば、監視社会になる。やはり、『一人一人が意識を改め、自分たちの行動で変えていく』自覚を持つことが大切です」 斗鬼さんが「好機」と見るのは、2025年4月に開幕する大阪・関西万博です。パリ万博で初めてエスカレーターが登場したように、万博とエスカレーターは深い関係にあります。「大阪・関西万博が、エスカレーターの正しい使い方のモデルを日本が世界に発信する機会になったらいいですね」 (読売新聞メディア局 長縄由実)