米国の利下げ遅れれば歴史的円安歯止めかからず 日銀、国債買い入れ減額で〝時間稼ぎ〟
米連邦準備制度理事会(FRB)は主要政策金利は据え置く一方、年内3回の利下げを行うとしていた従来予想を1回に引き下げた。高金利政策が長期化し、日米の金利差が開いた状態が長引くとの見方が広がり、外国為替市場では円安基調は続く。13日に始まった日本銀行の金融政策決定会合では長期国債買い入れの減額の方針が焦点となっているが、米国の利下げが遅れれば、歴史的円安に歯止めをかけるのは困難だ。 ◆米CPI発表で一時円高も… 13日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=157円近辺で取引された。 12日に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことを受け、ドルを売って円を買う動きが進んで円高方向に振れたものの、FRBが利下げに慎重な姿勢を示したためドルの下落幅は限定的になった。円安基調は変わらない状況だ。 日銀は13日から始まった会合で経済の好循環が生まれるかを見極めるため、追加利上げは見送る公算が大きい。その一方で、大きな議論のテーマとなるのが長期国債の買い入れの減額だ。 ◆日銀、頻繁な利上げは難しく 3月会合でマイナス金利政策解除した後も長期金利の急変動を避けるため、月6兆円程度の買い入れを続けてきたが、植田和男総裁は買い入れを減らしたい考えをたびたび表明。 今月6日の参院財政金融委員会でも「今後大規模な金融緩和からの出口(戦略)を進めていく中で減額することが適当だ」と述べていた。 今回の会合では市場への影響に配慮しながら、減額の幅やタイミングなど具体策を議論しているとみられる。買い入れを減らせば長期金利は上昇し、日米の金利差は縮小するものの、米国の高金利政策が長期化すれば円安を食い止める効果は一定程度にとどまる。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは日銀の金融政策について「頻繁に利上げをするのは難しく、国債買い入れの減額で『時間稼ぎ』をすることになる」と予測する。 ◆植田総裁の発言で為替急変動