フランクフルトの超高層ビル向けローンでデフォルト-再編合意できず
(ブルームバーグ): フランクフルトで有名な超高層ビルの韓国人オーナーが、同ビルに関連する債務の再編計画に合意できず、デフォルト(債務不履行)に陥った。
ソウルを本拠とするIGISアセット・マネジメントが管理するファンドが、フランクフルトにあるトリアノン・タワーに関連する債務でのデフォルトを確認した。IGISアセットのウェブサイトによると、ローンはビルを部分的に保有するファンドが貸し手と交渉する間スタンドスティル(据え置き)協定下にあったが、交渉は決裂し協定は失効した。
「支払不能事由発生から3週間以内に破産手続きを申請する予定だ」と同社は説明した。
欧州の大型オフィスビルや物流施設に投資した韓国の投資家は、金利上昇以降に欧州大陸の商業用不動産市場を襲った急激な調整で、最も顕著な損失を被った。韓国勢は環境面や立地よりもテナントの信用力を重視する傾向があり、企業が最高のアメニティーを備えた近代的で緑豊かなスペースを求めるトレンドから打撃を受けている。
IGISアセットと韓国のハナ・ファイナンシャル・グループは2018年にトリアノン・タワーを約6億7000万ユーロ(約1130億円)で購入し、オランダの銀行INGグループから3億7500万ユーロの融資を受けた。このローンは昨年満期を迎え、オーナーと貸し手はその後、不動産の売却や借り換えを試みたが、評価額急落のために実現しなかった。
金利上昇は、低金利時代に記録的な水準に達していたドイツの不動産価値に特に大きく影響した。トリアノン・タワーの場合、主要テナントであるデカバンク・ドイチェ・ジロツェントラーレが今年退去するため、新しいテナントを誘致するためにビルをアップグレードする莫大な費用が必要となり評価額がさらに下がっている。
原題:Korean Owners Default on Loan Linked to Frankfurt Skyscraper(抜粋)
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Jack Sidders, Shinhye Kang