米利上げ、市場参加者は6月利上げを完全に織り込み済み その後は?
24日に発表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2-3日開催分)では(1)6月FOMCにおける追加利上げ(FF金利上限1.00%→1.25%)および(2)年内のバランスシート縮小開始(を決定する)計画が再確認されたほか、新たな情報として(3)バランスシートの縮小計画についてその具体案が近い将来に発表されることが示されました。 これまで筆者を含む多くの市場関係者は、FRBが6月と9月に追加利上げをした後、12月にバランスシートの縮小を決定すると予想してきましたが、今後の動向次第ではその予想に変更を加える必要がでてきました。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
6月FOMCの利上げ確率は、ほぼ100%が続く
議事要旨には「大半の参加者はもう一段の利上げが近く適切になる」(下線は筆者、以下同じ)との記載がありました。これは筆者を含む大方の市場参加者が予想するよう、6月FOMCの利上げシナリオを確認するものです。実際、金利先物から逆算した6月FOMCの利上げ確率はほぼ100%(Bloomberg算出)の状態が続いており、まさに利上げを完全に織り込んでいる状態にあります。 一方、4月に発表された3月の物価指標が弱めだったことなどに鑑みて「最近見られる経済活動の減速が一過性のものだという証拠を待つのが賢明だ」との記載があり、この点は6月FOMCより先の追加利上げについて参加者が慎重な姿勢を貫いていることを窺わせています。 5月FOMC後に発表された4月の消費者物価上昇率が非常に弱い内容だったことを踏まえると、今後発表される物価指標の伸び率が一段と鈍化した場合、利上げ休止を主張するメンバーが増加し、年内3回目の利上げ時期と目されている9月の追加利上げが後ろ倒しになる可能性を意識されます。とはいえ、「経済見通しへの短期的なリスクはほぼ均衡」、「労働市場は引き続き改善」、「堅調な経済ファンダメンタルズを背景に、個人消費は今後数カ月で持ち直す」といった具合に景気の力強さに言及する記載が数多くあったことを踏まえると、物価指標がよほど下振れない限り、年内3回の利上げ計画は修正されないとみられます。物価指標の弱含みによって利上げ計画が頓挫するとしたら、現在+1.5%程度のコアPCEデフレータ(食料・エネルギーを除いたベースの物価指標)が+1.2%程度まで低下するような状況でしょう。