マクドナルドも降ろした「DEI」看板、保守の圧力に企業相次ぎ屈服
(ブルームバーグ): 外食最大手の米マクドナルドは、DEI(多様性、公平性、包摂性)のアプローチを見直す一連の大手企業に加わった。かつて普遍的な目標だった戦略は、保守派の圧力に押されて下火になりつつある。
マクドナルドはウェブサイトに掲載した声明で、今後は「意欲的な目標」の設定をやめ、代わりに日常業務に「包摂的な慣行を取り込む」ことを継続すると表明。サプライチェーンにおけるDEIの宣言を取り下げ、「業務成績との関連性における包摂性を、サプライヤーと統合的に議論することを優先する」という。
同社はまた、多様性チームを「グローバル・インクルージョン・チーム」と改称。「包摂性に向けた当社のコミットは揺るぎない」と述べた。
2020年のジョージ・フロイドさん殺害後に多数の企業が採用したDEIの方針は、全米で次々と取り下げられている。連邦最高裁が大学入試におけるアファーマティブアクション(積極的差別是正措置)を違憲と判断して以降、企業のマイノリティー(少数派)優先に異議を唱え、法廷闘争に持ち込み経営者らに見直しを迫るケースも少なくない。トランプ次期米大統領はDEIの方針を公に批判、連邦政府の主導でこうした慣行を根絶すると公約している。
マクドナルドは昨年、人権に関連した企業監査を完了し、ステークホールダーとの取り組みを経てかれらの期待を理解したと述べた。また最高裁の判断がどう「企業に影響を与え得る」かについて「法的な状況の変化を評価した」という。
マクドナルドは今後も取締役や従業員、サプライヤーに関する人口統計を、年次のインパクトリポートで報告していくと述べた。多様な従業員や応募者、サプライヤーのパイプライン構築を支援する社内の取り組みと、賃金平等のコミットメントに重点を置いていると述べた。
原題:McDonald’s Retires Some DEI Goals in Latest Corporate Retreat(抜粋)
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Daniela Sirtori, Jeff Green