【特集】『運転手不足』と『2024年問題』で相次ぐ路線バスの廃止「1日15時間勤務」元運転手語る過酷な労働実態…“地域の足”が迫られる選択の時
関西各地で相次いでいる、路線バスの廃止。背景にあるのは、「運転手不足」です。さらに運転手の時間外労働が規制される「2024年問題」が追い打ちをかけます。“地域住民の足”は、どうなってしまうのか―。バス業界の現状と対策を追いました。 【動画で見る】1日15時間勤務・休日出勤続く過酷な労働環境…「運転手不足」で廃止相次ぐ路線バスの厳しい実態
波は都会にも…相次ぐ路線バスの「廃止」
緑の車体が目を引く「金剛バス」。大阪府南部の富田林市、河南町、太子町、千早赤阪村の4つの市町村を走るこのバスは、2023年12月20日の運行を最後に、15の路線全てを廃止すると発表しました。
富田林市立東条小学校では、全児童77人のうち51人が登下校に「金剛バス」を利用していて、バスがなくなると、通学への影響は大きくなります。 (子ども見守り隊) 「東条小学校まで歩いて30分ぐらいかかるし、狭い道路で交通量も多いので、非常に危ない。バスがなくなったときに、どう対応すればいいのかというのは、我々以前に保護者が心配したと思います」
大切な“地域の足”だった、金剛バスの廃止。最大の理由は、「運転手不足」です。 1便あたりの乗車数が5人以下となっている路線も多く、2021年には7000万円以上の赤字に。厳しい財政状況のなか給与を上げることも難しく、10人以上の運転手が退職したことで、ついに運行を断念しました。
こうした事態を受け、バス路線のある4つの自治体は、行政が費用負担する「コミュニティバス」方式での継続を検討しています。行政が年間数億円を税金で負担していくことになりますが、実際の業務は別のバス会社に委託するため、結局「運転手不足」で運行ができなくなる恐れもあります。
路線バスの廃止は、地方だけの問題ではありません。大阪の中心地・梅田を発着する便にも、廃止の波が押し寄せてきています。大阪府や兵庫県を中心に運行している「阪急バス」も、梅田~阪急園田駅(兵庫・尼崎市)を結ぶ路線など4つを廃止しました。
(利用者) 「廃止にするような路線とは全く思っていなかったので、かなり衝撃を受けているのが本音です」 「梅田まで出てくるのに車がなかったら困るし、お年寄りの人は結構免許返納しているし。タクシーでも、梅田まで3500円ぐらいかかるので」
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