【特集】『運転手不足』と『2024年問題』で相次ぐ路線バスの廃止「1日15時間勤務」元運転手語る過酷な労働実態…“地域の足”が迫られる選択の時
あの手この手で人材を…全国各地で運転手の争奪戦
兵庫県を中心に運行し、約1200人の運転手が勤務している「神姫バス」。そのバスの車体には、所属する運転手たちの顔がラッピングされています。その名も、「神姫バスのヒーローたち」。運転手不足を解消するため、あの手この手で人材を集めています。
(神姫バス担当者) 「今までは大型2種免許が必要だったが、今は普通免許から応募できますし、その代わり、大型2種を取得できる支援制度も、しっかりと制度として設定しています。また、働き方も多様化していて、週1日の出勤など短時間型の働き方ができます」
また、SNSを通じて運転手の魅力を発信するなど、若い層へのPRにも力を入れています。 (神姫バス担当者) 「いきなり応募してほしい・受験してほしいと言ってもハードルが高いので、運転手の裏の顔や雰囲気、仕事内容などを身近に感じてもらって、バス運転手になろうと、地域に貢献したいと思ってくれる人を募っています」
運転手の争奪戦は、激しさを増しています。2023年9月に大阪市で行われたのは、西日本のバス会社を中心に77社が集結した「就職イベント」。運転手を確保しようと、各社の採用担当者によるアピール合戦が繰り広げられていました。
(沖縄の担当者) 「インターンという形で沖縄のバス会社にいらした際に、『渡航費を全額補助する』という事業をやっています」 (大分の担当者) 「別府市に移住していただきましたら、『最大400万円の移住支援金をお渡しします』というスキームでさせていただいています」
「オンデマンドバス」「ライドシェア」…代替手段の実現は?
“地域の足”が失われる危機的な状況に、国や行政の動きが加速しています。代替手段の1つとして実証実験が進められているのが、「オンデマンドバス」。特定の路線を持たず、予約に応じて運行する「乗り合いバス」のことで、複数の予約状況からAIが最適なルートを算出するシステムを使うなど、本格的な導入に向けて動き出しています。
さらに最近、注目を集めているのが「ライドシェア」です。海外では導入している国も多い仕組みで、一般のドライバーが自家用車を使って、有料で人を送迎します。 11月4日には、全国に先駆けて「ライドシェア」を導入した兵庫・養父市を、河野太郎デジタル相が視察しました。運転手不足を解消する一手として、期待されています。 (河野太郎デジタル大臣) 「非常に快適でした」
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