PEOPLE 1、"113号室"から有明アリーナに至るまでの5年間、結実の一夜を振り返る
12月21日(土)、22日(日)、PEOPLE 1の第8回本公演「PEOPLE 1の世界」が有明アリーナで開催された。この記事では、2日目、22日(日)の公演の模様をレポートしていく。はじめに結論から書いてしまえば、「PEOPLE 1とは何か?」「大衆音楽とは何か?」という根源的な問 いに対する一つの答えを示すような、彼らの表現の真髄が凝縮された渾身のライブだった。順を追って振り返っていきたい。 【画像】PEOPLE 1、有明アリーナ公演(全6枚) 会場に入ると、まず、PEOPLE 1のテーマカラーである赤色を基調としたステージセットが目に入る。そして開演時間を迎えると同時に、ライブの幕開けを告げるオープニングムービーが流れ出す。それは、「PEOPLE 1とは何か?」という問いに対して、様々な人が自分なりの定義を返答する音声を繋いだもので、「一言では表せない。」「複雑。」といった返答が次々とコラージュされていく。やがて、ステージをスモークが覆い、荘厳なSEが轟き始める。そして、「PEOPLE 1とは、君が今から観る全て」というナレーションの言葉が届けられ、オープニングナンバー「アイワナビーフリー」からライブが幕を開ける。メンバーの衣装は赤色をベースとしたもので、それぞれが手に持つ楽器も赤い(この日のためにドラムを赤く塗装したとのこと)。幕開けから容赦なくTakeuchi(Dr)の豪快なドラムがアリーナを激しく揺さぶり、Deu(Vo・G・B・Other)の「騒げ、有明アリーナ!」という熱烈な扇動を受け、次々と一人ひとりの観客の歌声が重なり、やがて壮大な大合唱となって会場全体に響き渡っていく。Deu「『PEOPLE 1の世界』へようこそ、素晴らしい夜をつくろうぜ。」、Ito(Vo・G)「有明、会いたかったぜー!」という挨拶を交えつつ、「さよならミュージック」、立て続けて「鈴々」へ。Itoは同曲の《ずっと騒いでいようね》という歌詞を《ずっと騒いでいようぜ、有明!》と替えて歌い、その想いに応えるように観客は一斉ジャンプをばっちりときめる。次にドロップされたのは、熱烈なパーティーチューン「ハートブレイク・ダンスミュージック」だ。Deuは、花道を辿りアリーナ中央に設置されたセンターステージへ向かい、全方位の観客と熱きコミュニケーションを重ねていく。まだ序盤にもかかわらず、まるでクライマックスのような狂騒が巻き起こる中、Deuは、深いオートチューンが効いた声で「最後まで楽しんでいってね、有明アリーナ!」と高らかに告げる。圧巻のオープニングパートだ。 最初のMCパートでは、Deuから、5周年を迎えたタイミングで行う今回の本公演には明確なコンセプトや縛りはなく、それはつまり、この5年間の全てを出し尽くすベスト的なものになることが伝えられた。熱く、温かな拍手が巻き起こる中、「ラヴ・ソング」から次のブロックが幕開け。Itoは、センターステージ上で胸に手を当てながら渾身の想いを歌い届け、そして同曲の終わりで両手を左右に大きく広げて「騒げ!」と全方位の観客に叫び、「GOLD」へ。2番のサビでは、マイクを丸々フロアに託し、その信頼の念を受け、観客はめいっぱいの大合唱を響かせていく。なんて熱いライブコミュニケーションなのだろう。ここから、今回の公演だからこその特別な展開へ。まずは、「スクール!!」を大々的にアレンジした「新訳:スクール!!」がドロップされる。重厚さ、鋭さを容赦なく高めた鮮烈なトラックを基軸としたアレンジで、間奏では、Takeuchiの全身全霊のドラムソロが届けられる。その後、彼はドラムを離れ、花道を辿ってセンターステージへ。「ジャンプ! ジャンプ! ジャンプ!」「油断してねえだろうな。」「かかってこい!」と360度を囲む観客たち一人ひとりをアジテートしていく。続けて、「ドキドキする」のライブアレンジ版「新訳:もっと! ドキドキする」へ。グッとテンポを落としたダーティーな音像のトラックで、まるで全てのパラメータを攻撃力に全振りしたような覇気を感じる。なんて大胆な新訳だろう。 圧倒される観客たちに向けて次に放たれたのは、2024年リリースの「メリバ」だ。スクリーンに大々的に映し出される「MERRY BAD END」の文字。曲に入る前にItoが「みんなが愛してくれているように、僕もみんなのこと愛してます。好きだから殴るんです。」と語っていたように、まるでお互いに愛をぶつけ合うような熱烈な応酬がステージとフロアの間で巻き起こっていく。次の「DOGLAND」では、観客が真紅に光るスマホの画面を掲げ、メンバーの熱烈なライブパフォーマンスを猛烈に彩ってみせる。ステージ後方では、X状の炎も高らかに放出。またしても、クライマックスのような熾烈な一幕となった。続けて、Itoの「ダンスを続けようぜ。」という呼びかけから「フロップニク」「銃の部品」の2連打へ。そして、サプライズでステージ上に菅原圭が現れ、コラボ曲「Ratpark feat. 菅原圭」のライブ初披露が実現。まるでジェットコースターのように目まぐるしく突き進む高速展開を鮮やかに乗りこなしながら、Deuと菅原の熱きマイクリレーが繰り広げられていく。「有明、いけますか、ラストスパート!」という菅原の号令を受け、会場全体のボルテージがさらに高まる。全員でカオスの極北を目指すような猛烈な一体感と高揚感に満ちた、あまりにも壮絶な一幕だった。