シャープ、個性強めな「19万円のカメラスマホ」を投入、両輪戦略で国産スマホメーカーの活路を開く
さらに、AI技術で昭和の名優・松田優作を現代に蘇らせたプロモーション展開により、ブランドイメージは大きく変化。「日本らしいかっこよさ」を前面に打ち出したこの新しいアプローチは、意外にもブランドの平均年齢層の若返りにつながった。 AQUOS R9は性能を控えめにして価格を抑えたこともあり、「前世代機の3倍のペースで売れている」(小林氏)と好調という。 AQUOS wish4では、「小さいスマホは使用頻度が少ない人向け」という従来の定説を覆し、実際の顧客の声に基づいて大画面化に踏み切った。東南アジアや台湾への進出も行っており、現地のニーズをくんだ形となる。
結果として、シャープは現在、4つの製品ラインでマーケットに挑むことになる。頂点に立つR9 proを筆頭に、エンターテインメント性能を追求した「R9」、そして6万円台で幅広い層に応える「AQUOS sense9」、スマホ初心者層に向けた「AQUOS wish4」と、それぞれが異なる市場ニーズに応えている。 市場全体では価格の低下傾向が続く中、フラッグシップモデルの存在意義が改めて問われている。シャープの答えは明確だ。R9 proでは最先端技術への挑戦を続け、sense9では「ハンディで電池持ちがいい」という独自の価値を磨く。異なる方向性を持つ2つの製品ラインだが、どちらも「これでなければならない理由」を持つ。
石井 徹 :モバイル・ITライター