歴代首相通った国会内理髪店が幕 営業56年、常連客が別れ惜しむ
田中角栄、福田赳夫、中曽根康弘各氏ら歴代首相も通った国会内の理髪店「職員理髪」が27日、56年の歴史に幕を下ろした。店を畳むと決めてから議員や国会職員ら常連客が次々と訪れて別れを惜しみ、店主の小鹿里代さん(85)は「本当に幸せだった。感謝しかない」と振り返った。 【写真】歴代首相の散髪事情を分析 名優と同じ、「千円カット」、自宅派…
福島県川内村出身。中学卒業後、郡山市内の理髪店で住み込みとして働き、専門学校にも通った。理容師の資格取得を機に上京し、国会内の別の理髪店に勤務。その後、出産を機に帰郷した。 ある日、衆院事務局から電話が鳴る。店を開かないかとの誘いだった。保証人を買って出たのは福田赳夫元首相。「俺が面倒見てやる」。1968年に開店した。 モットーは「人の悪口を言わない」。議員が口にすると「先生、言わないのよ」といさめた。多忙な政治家の癒やしにと、マッサージも施した。 26日には築山信彦衆院事務総長から感謝状を贈られた。村上誠一郎総務相も公務の合間を縫って贈呈式に駆け付け「総務相になれたのも、お母さんが励ましてくれたからだ」と涙を浮かべた。