バレー新リーグ「大同生命 SV.LEAGUE」 スポーツリーグの冠に大手生保が多いワケ
異例の6年契約の理由
それにしても、大同生命とSVリーグの契約で驚かされたのが、6シーズンに渡る長期の契約期間。一般的には2年から3年(2シーズンから3シーズン)のケースが多い中で、大同生命はなぜバレーボールのSVリーグに6シーズンに渡る長期契約を結んだのか。会見でその点について、北原社長と大河バイスチェアマンに問うと、次のように答えた。 「今回、我々は今まであったリーグの誰かのポジションを立ち替わってなる形というではなく、初めてスタートするものに浸透させるということなので、それを育てていくためには一定の期間が必要」(北原社長) 「6年後の2030年に、我々のビジョンにおいて世界最高峰リーグになると掲げている。2027年からセカンドステージ(筆者注釈:2024年から3シーズンが世界最高峰リーグになるための第一段階)になりますけど、そのゴールが2030年。それに向けて、共に我々が成長しているところを見つめてもらえながらサポートしてもらえればと思っている。確かに、一般的には4年、3年とか5年とかですが、長期契約をさせてもらいました」(大河バイスチェアマン) バレーボールリーグ自体は長年あった中で、世界最高峰リーグを目指す新たなリーグとして生まれ変わり、大同生命としては色のついてない真っさらなリーグに、一から携われるところが魅力に映った。新しいリーグを立ち上げる側としてはこれほど心強いものはない。 他の球技での話だが、新リーグを立ち上げようとした際に、あるチームの代表者がリーグに対して不満を示したことがある。不満の中身が、大きなスポンサーつまりタイトルパートナーを持ってこないことだった。結果的にその新リーグは実質失敗に終わった。SVリーグ開幕の半年前に、大同生命と長期契約を結べたことは、SVリーグに参入するチームの中に多少はある不安や不満を解消するには非常に重要だったであろう。 また、大同生命がSVリーグに出すスポンサー料は、年間数億円規模と推察されるが、まだ事業規模が年間10億円に満たないリーグ側にとって、億を超える運営資金は非常に大きい上に、目処がある程度見通せることは、中長期に渡る計画が立てやすい。 もちろん大同生命にとっても「これまで(プロスポーツリーグなど)スポンサー自体なったことがなく初の取り組み。業界5位ということもある」(同社関係者)ということから、SVリーグを起爆剤に、存在感やブランド認知を高めたいというのが一番大きな理由だろう。 大同生命がSVリーグとどういった活動をしていくのか。他社とは異なる斬新な取り組みに期待したい。
大塚淳史