バレー新リーグ「大同生命 SV.LEAGUE」 スポーツリーグの冠に大手生保が多いワケ
生保とスポーツを結びつけるキーワード「地域」「健康」
今回の大同生命とSVリーグの提携に限らず、生命保険会社がスポーツリーグのタイトルパートナーとしての関わりを持つ理由として考えられるのが、大同生命の北原社長の発言の中にある「地域社会の活発化への貢献」だろう。長らくJリーグのトップパートナーとして支える明治安田生命も、Jリーグを通した地域貢献活動を積極的に行っている。 明治安田生命は2014年にJリーグのトップパートナーとなり、J3リーグ(3部リーグ)のタイトルパートナーとなった。その翌年2015年からはJ1(1部)、J2(2部)のタイトルパートナーにもなり、Jリーグ全体で冠名がついた。スポーツニュースを含め、「明治安田生命 Jリーグ」と長年紹介されていることもあり、サッカーファンからの認知度は高いだろう。明治安田生命はリーグの冠スポンサーだけでなく、実はJ1~J3の全60クラブのスポンサーにもなっていて、Jリーグクラブのない県であれば、J3より下のリーグに属するクラブのスポンサーもしている。リーグの冠と、リーグに所属する全クラブとの契約となると、年間スポンサー料は相当な金額になる。 2022年12月にJリーグとの契約をさらに4年更新し、2026年までトップパートナーを継続することを発表した記者会見で、明治安田生命の永島英器社長は「Jリーグ百年構想やホームタウン制といった理念は、地域に寄り添うという私たちの想いとぴったり一致する。Jリーグの発展と地域社会の貢献にこれまで以上に邁進してまいります」といった言葉を残している。 また、Jリーグの公式ホームページ上にある当時の会見の様子を伝えるリリース記事には、こう書かれている。 『今回の契約更新の背景には、「地域に根差し、地域に愛される存在であり続ける」という両者の共通の想いがある。地域社会の活性化と課題解決へのさらなる貢献に向けて、両者の関係性は継続されることとなった。その想いを形とするべく、2023年から新たなプロジェクトがスタートこととなった。明治安田生命が行う「地元の元気プロジェクト」とJリーグが2018年から実施している「シャレン!」が連携し、各地域課題に応じた社会貢献活動を行うこととなった』 ここに出てくる「シャレン!」とはJリーグを活用した社会連携活動で、多くのJリーグクラブがシャレンに取り組み、その活動を表彰するアウォーズも毎年行われ、明治安田生命の賞もある。このように、Jリーグと明治安田生命は「地域」というキーワードで強く結ばれている。 なお、明治安田生命はブランド名を2024年1月から「明治安田」に変更したことに合わせて、Jリーグの冠名も2024年シーズンから「明治安田Jリーグ」となっている。 もうひとつ生命保険会社がスポーツリーグに関わる理由として挙げられるのが「健康」だ。2021年に始まったダンスのプロリーグ「Dリーグ」は、10代20代の若い世代の人気が爆発していて、試合会場は常に観客の熱気で溢れている。そんなDリーグのタイトルパートナーに就いているのが第一生命。同社ホームページ内のDリーグに関するページには、協賛の理由として次のように書かれている。 『第一生命は、ダンスを通じて多くの方が楽しみながら健康増進に取り組むことができ、また様々なつながりの場をお届けできることからプロダンスリーグ「D.LEAGUE」へ協賛しています。 ダンスの魅力を多くの人々にお伝えするとともに、「健康」や「つながり」で、これからも皆さまの「クオリティ オブ ライフ(QOL)」向上に貢献していきます。』 生命保険各社の企業理念や活動報告の中には、大なり小なり「健康」について触れる記述がある。生命保険と名の付く会社だからこそ、健康と密接に関係あるスポーツに関わるのだろう。 第一生命は同じページ内で、地域に関する取り組み事例も紹介している。 昨シーズンに続き、今シーズンもBリーグのポストシーズンでタイトルパートナーになった日本生命も、特別協賛が決定したリリース文面の中で「健康増進」「地域・社会の活性化」といった記述がある。 これらの事例でわかるように、生命保険会社がスポーツリーグのスポンサーになるのは、ごく自然なことなのかもしれない。 もちろん、生命保険以外の業種の会社でもスポーツリーグのタイトルパートナーになっている。主なリーグでは、プロ野球のパ・リーグは「パーソル パシフィック・リーグ公式戦」、ラグビーは「NTTジャパンラグビー リーグワン」、女子ソフトボールは「ニトリJDリーグ」、卓球は「ノジマTリーグ」などがある。