「扇風機で十分」と言われたら?熱中症にさせないための“離れて暮らす親”にクーラーを使ってもらう方法
本人は寒くても体が熱い場合もある
こうして“エアコンをつけたがらない問題”に根気強く向きあうと、もしかしたら親の認知症を発見することにつながるかもしれない。 「程度にもよりますが、認知症によって暑さへの行動認知が鈍くなり、暑いと感じても脳の中でうまく処理できないこともあり得ます。 そのためエアコンをつけるまでの行動に至らないケースもある。 “付け方がわからない”こともあり、認知症の可能性を見つけることにつながるかもしれません。そういう状態であれば介護が必要になります」 そして、どうしても「寒い」と言ってエアコンをつけたがらないときは「単純に、直接風があたっていることもある」という。 冷たい風が体表にあたると体温を下げてしまう。しかし高齢者は一概に寒いからと言ってエアコンを消してしまわないようにしたい。 「高齢者の発汗機能は落ちていきますが、頭の汗腺は最後まで残ります。汗を体ではなく頭にかいていることが多い。 そのため、本人は寒いと言っていても、頭に汗をかいていて、体が熱いこともあり、うまく体温調節できていない可能性があります」 そんなときには上着を羽織ったり、風があたらない位置に移動したりすることと、夏本番を迎える前から暑さに慣れていくことが重要だという。 「特に今の時期は暑さに対応する『暑熱順化』が大切です。あまり暑くない日や時間帯に少し汗をかくくらいの散歩をしてみるなどして、体を動かしてみてください。 体温を調整する筋力も落ちにくくなります。そのときは必ず水分補給を。昨今の暑さを“災害”と捉えるならば、熱中症予防はその備えです」
プライムオンライン特集班