チョコプラ松尾が発症した「大腸憩室炎」の原因・症状・治療法とは【医師解説】
大腸憩室炎の症状
編集部: 大腸憩室炎ではどのような症状が現れますか? 武井先生: 大腸憩室炎はほとんどの人には自覚症状がありません。しかし、中には発熱や腹痛、下血などの症状が起こります。発熱や腹痛、下血が起こるものを「大腸憩室症」と呼びます。 上行結腸の大腸憩室に炎症が起こると右側の下腹部あたりが痛み、下行結腸からS状結腸の大腸憩室に炎症が起こると左側の下腹部あたりが痛むのが特徴です。
大腸憩室炎の原因
編集部: 大腸憩室炎の原因を教えてください。 武井先生: 大腸憩室は、外に飛び出る構造をしているため便が溜まりやすくなっています。大腸憩室に便が溜まったままの状態になると、細菌が繁殖しやすくなって、炎症が起こることが原因です。 従来、大腸憩室炎は欧米ではS状結腸に好発し、日本では上行結腸に多いとされていました。食習慣の変化や生活様式の変化で、日本でも下行結腸に発生する大腸憩室炎が増加しています。 下行結腸の大腸憩室炎が増えている原因として、主に大腸内圧の上昇と加齢による腸管壁の脆弱化が挙げられます。そのほかにも、体質や遺伝、人種、生活環境なども関係していると考えられています。 大腸憩室炎の危険因子は主に以下です。 ・内臓脂肪型肥満 ・鎮痛薬の乱用 ・免疫抑制剤の使用 ・便秘症 しかし、これらの危険因子を予防したからと言って、発症しないわけではありません。あくまでも、大腸憩室炎を引き起こす可能性が高いものとして考えられています。 編集部: なぜ大腸内圧が上昇するのですか? 武井先生: 日本人の食生活が欧米化しており、肉食メインの食事が増えて野菜不足になっていることが原因です。これにより食物繊維の摂取量が減少し、便秘や腸管のれん縮、大腸の腸管内圧の上昇が起こりやすくなっています。 編集部: 加齢も関係しているのですか? 武井先生: 大腸に関わらず、体のすべての臓器は加齢とともに徐々に機能が低下します。大腸も同じように、加齢とともに機能が低下するため、そのため反応が鈍くなったり、脆くなって傷つきやすくなったりします。そのため歳とともに、大腸憩室炎を起こしやすくなるのです。