小学校高学年から「片頭痛」2カ月に一回の頻度で視界がチカチカ、吐き気も 山本佳奈医師
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「片頭痛」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。 【写真】片頭痛で長年悩まされている人気お笑い芸人はこちら * * * 私が片頭痛を発症したのは、小学校高学年の頃に遡ります。当時は、ただの頭痛だと思っていた私は、頭痛が出てきたら、鎮痛剤を飲んでしばらく休むことを繰り返していました。中学受験を控えていた小学6年生の頃は、睡眠不足やストレスも相待って、頭痛が頻繁になり、鎮痛剤を飲む頻度も増えていたように記憶しています。 その当時から「閃輝暗点」という片頭痛の前兆の一つである現象も経験していました。閃輝暗点とは、視界の中にキラキラ・ギラギラした模様がみえ、それが視界を遮るように次第に周辺に拡大していく現象です。 芥川龍之介も、この閃輝暗点に悩まされていたようです。彼は、経験を1927年に発表された「歯車」と言う小説の中で閃輝暗点を「歯車」と表現し、〈僕はこう云う経験を前にも何度か持ち合せていた。歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞ふさいでしまう、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代りに今度は頭痛を感じはじめる、――それはいつも同じことだった。〉と一連の現象を作品の中で表現しています。 ■片頭痛は睡眠不足や気圧の変化で 片頭痛(※1)は、睡眠不足や気圧の変化、食事を抜いた時などの空腹、光や匂いといった感覚への過度の刺激、ストレスなどが引き金となって発生すると言われています。脈打つような頭痛やズキズキとする痛みが頭の片側または両側に生じ、明るい光や大きな音、特定の匂いによって頭痛が悪化し、吐き気を伴うことが多いです。発作の頻度や重症度は人それぞれであり、一般に頭痛は数時間から数日続くと言われています。 また、片頭痛の患者の約25%は発作の前に前兆がみられることが知られています。その前兆が、芥川龍之介が「歯車」と表現した閃輝暗点です。ギザギザに走る光、チカチカする光、または閃光が見えたり、視野に盲点ができ、その周囲がチラチラ光って見えたりする前兆が、数分から1時間程度続くのです。頭痛が始まると次第に消失する場合もあれば、継続することもあります。