Z世代憧れの職業は「インフルエンサー」、米大学で専門コースを設ける動き
2024年の経済規模が2500億ドル(約38兆円)にのぼると見込まれているクリエイターエコノミーは、もはやSNSスターを目指す人たちの単なる副業ではない。希望に満ちたインフルエンサーにとっては正当なキャリアパスだ。 マット・ライフやチャーリー・ダミリオといった超売れっ子インフルエンサーの大半は、オンラインスターになるための正式なトレーニングを受けていないが、先進的な考えを持つ学者ら(とZ世代の半数以上)は「インフルエンサー」を現実的なキャリアパスと考えている。「(インフルエンサー業界の側面を)これから社会に出る学生にスキルとして示さなければ我々の怠慢になる」と、米アラバマ大学で「ソーシャルメディア・ストーリーテリング」という授業を教えているジェシカ・マドックスは言う。 アイビーリーグの大学すら動いている。ハーバード大学は最近、YouTubeで多くのチャンネル登録者数を誇るMrBeast(ミスタービースト)をゲスト講師として招き、数百万ドル規模のコンテンツ帝国を築き上げることについての知見を語ってもらった。クリエイターエコノミーの規模は今後数年で5000億ドル(約76兆円)を超すとみられている中で、大学もこの分野に注意を払っており、特定のジャンルで影響力を及ぼすための技と事業活動を教えている。 ■夢もあるが、厳しいインフルエンサーという職業 米エンターテインメント雑誌のハリウッド・リポーターが記事で引用した調査によると、Z世代の半数以上がインフルエンサーを目指している。加えて、18~60歳の米国人の54%は、コンテンツクリエイターとして生計を立てられるなら現在の仕事を辞めたいと考えている。米労働統計局は、インフルエンサーを含む「芸術、デザイン、エンターテインメント、スポーツ、メディア職種」の2023年の増加率が13%と他の職種を大きく上回ったことを明らかにしている。 ミスタービーストのようなインフルエンサーらは今年数百万ドル(数億円)稼いでいる。フォーブスの調べでは、ミスタービーストは昨年、5400万ドル(約83億円)以上を稼ぎ出した。フォロワー数1億1400万人のStokes Twins(ストークス・ツインズ)は、YouTubeチャンネルやその他のSNSから年間推定2000万ドル(約30億円)の収入を得ている。 儲けが多いという性質から、クリエイターエコノミーは現実的で望ましい職業としての地位を確固たるものにしている。簡単に収入が得られるように見えるからだ。動画を制作し、対価をもらうという仕組みだ。だが、このような巨額の収入は、高い目標を掲げている学生、あるいは一般の人々にとって現実的なものなのだろうか。