Z世代憧れの職業は「インフルエンサー」、米大学で専門コースを設ける動き
「インフルエンサーエコノミーとは単に知名度だけでなく、不安定さを管理し、影響力を活用することでもある」
YouTubeのトラフィックを収益化するプラットフォームのAdSense(アドセンス)によると、ユーチューバーで月5000ドル(約76万円)以上稼ぐ人は全体の0.3%にすぎない。チャンネル登録者数1000人の「初心者 」ユーチューバーは、AdSenseから毎月30~300ドル(約4600~4万6000円)程度を得ることができる。留意してほしいのは、登録者数が1000人以上のチャンネルは全体のわずか9%であることだ。 クリエイター支援プラットフォームのPatreon(パトレオン)やアフィリエイトマーケティングなどを利用して収入を増やすこともできるが、やり方次第だ。もちろんYouTubeだけがソーシャルプラットフォームというわけではなく、だからこそ大学はいま、学生に選択肢や知見を提供している。 結局のところ、大学は教育を提供するところであり、学んだことをどう生かすかは個人次第だ。クリエイターエコノミーを学ぶことは時流をより深く知ることであり、未来への準備でもある。 だが、何百万人ものフォロワーを保証するものではない。どの学問の追究でもそうだが、インフルエンサーになるための勉強をしたからといって、必ずしも次のAlex Cooper(アレックス・クーパー。収入2200万ドル[約33億円]、フォロワー数570万人)になれるとは限らない。それでも自分が情熱を注げることを見つけたり、組織が強力なブランドメッセージを発信するのに役立つかもしれない。 ■インフルエンサーエコノミーを受け入れる大学 米コーネル大学で新たに発足したコンテンツクリエイターに関する学者のコミュニティのメンバーで作家でもあるブルック・エリン・ダフィー教授は「デジタルコンテンツ制作を10年以上研究してきたが、このテーマが多くの学術関係者に理解されるようになったのはごく最近のこと」と話す。魅力的なコンテンツを制作するだけでなく、契約交渉や知的財産権の理解、持続可能なビジネスモデルの構築もできるよう、大学は学生を指導している。 ダフィーの言葉を借りれば、「インフルエンサーエコノミーとは単に知名度だけでなく、不安定さを管理し、影響力を活用することでもある」。米ジャクソンビル州立大学で広報を教えるケイト・スチュワート助教授はこの研究分野について「コミュニケーション、制作そしてビジネスでもある」と語る。リスクを管理し、パワーを理解し、コンテンツを伝え、インパクトを生み出す。これらはこれからの仕事に不可欠な要素だ。インフルエンサーという職業は今日の大学、そして明日を見据えるZ世代の学生にとって現実的で重要な研究分野だ。
Chris Westfall