アップルの「ビジョンプロ」は何が革新的なのか? AIとの融合が未来を作る鍵となる
マイクロソフトは空間コンピューターを標榜した最初の製品「HoloLens」シリーズの開発を放棄。エンジニアの一部はメタに移籍している。 2016年から始まるPCVR(ゲーミングPCなどを用いたハイエンドHMDで HTC Viveシリーズなどが知られる)は、一部のゲームソフトが品質の高い体験を提供したが、システムが大規模で高価。一部のゲーマー、あるいはビジネス用途に留まっている。 メタはPCVRへの投資をやめて、コンピュータシステムを内蔵するOculus Goを開発し、それを洗練させ低価格化したQuest 2を2018年末に投入し、販売、対応ソフトの両面で継続的にマーケティングと開発支援の資金を投入した。
DSCCのデバイス出荷動向(予測を含む)グラフを見ると、2018年からQuest 2向けデバイスが大量に調達されていることがわかる(グラフ中の灰色の部分)。一説にはこの時期にメタが投入した資金は、日本円で1兆円とも言われているが、その後、出荷が沈静化していることも読み取れるだろう。 メタは諦めずにこの市場をさらに活性化させようとQuest 3を開発し、さらにQuest 2で得られたユーザー像や課題を分析した上で、継続的な投資をしていく。グラフの黄土色の部分がQuest 3で使われているLCDパネルだ(ただし他社も採用していく見込みのため、全数がメタという予測ではない)。
これに対して青色の部分はOLEDパネルでVision Proのほか、クアルコム・サムスン電子・グーグル連合が作るプラットフォームでも、同様の技術が使われていく。 どのようにして、過去に立ち上げられなかったHMD市場でブレークスルーを作るかだが、Vision Proがアップルによって垂直統合されたプラットフォームとして強力にドライブされている一方、メタとクアルコム・サムスン電子・グーグル連合は水平分業による市場拡大を狙っている。