アップルの「ビジョンプロ」は何が革新的なのか? AIとの融合が未来を作る鍵となる
なお、VR/MR向けディスプレーの出荷は2025年以降にペースが急増する予測(2023年末)で、この予測そのものに大きな違いはないが、DSCCは最近、増加ペースに関して予測値を少し下方修正している点に留意したい。 “XRデバイス”といった場合、VR/MR用HMDもあればARグラスもある。また幅広く捉えれば、2面あるいは3面に立体配置したLEDサイネージに擬似的な3D映像を流す広告表示などもXRデバイスと言えるが、現時点でのARデバイスは用途がやや限定的だ。
一方で技術的なハードルを越えてくれば、AR/MRデバイスは増加してくる。 おそらくアップルはこうした将来を見越して、開発者やクリエイターに対してMRデバイスを磨き込んだ先にある“空間コンピューター”の世界をVision Proで見せたかったのではないだろうか。 筆者が個人的に購入した北米版のApple Vision Proは、最初のバージョンから1.2までアップデートが進んだが、基本的な機能やiOS/iPad OSなどとの整合性など、不足する要素が極めて多いものだった。ユーザーインターフェースも、簡単ではあるもののアプリ開発上は制約が多く、操作も不確実性を感じる部分があった。
先日の開発者向け会議「WWDC24」で発表したvisionOS 2では、内部の機能、ユーザーインターフェースともに大きな進化が認められるが、Apple IntelligenceをはじめとするAI機能の実装は遅れている。 おそらくVision Proが”完全体”となるのは、2025年秋以降に登場するだろうvisionOS 3になりそうだ。 ■メタがあきらめずに市場の活性化に挑んだ そんな俯瞰動向ではあるが、それでもVision Proに関する話題やアップルのこのジャンルへの投資を馬鹿馬鹿しいと揶揄する声は大きい。しかし、懐疑的な意見が多いのも、過去を振り返ってみれば当然のことだ。