迫りくるEVシフトで、ディーラーの「営業スタイル」はどう変わるのか?
EV販売割合14%
近年、新車のラインナップは電気自動車(EV)にシフトしている。もちろんガソリン車も販売されているが、さまざまなグレードのEVが追加され、EV専用車両も増加している。 【画像】「え…!」これが「トヨタ自動車の年収」だ! 画像で見る EVの販売割合が高まるにつれて、ディーラーの営業体制も変わっていくはずだ。筆者(宇野源一)のディーラー勤務経験を基に、今後の変化について考えてみる。 リブ・コンサルティングの資料によれば、近年、世界的にEV(BEV、PHV)の販売割合が増加している。具体的な数字を見てみると、 ・2020年:4.2% ・2021年:9% ・2022年:14% に達している。このことから、世界的に車のエコ意識が高まっていることがわかる。 しかし、日本国内の2023年時点でのEV販売割合は3%で、2020年はそれ以下だった。したがって、日本ではEVが普及しているとはいえない。読者も、街中でEVを見かける機会が非常に少ないと感じているのではないか。この数字や実体験から、日本の社会にはまだEVが十分に受け入れられていないことが明らかだ。 一方で、日本政府は2035年までに新車販売における電動車の割合を100%にする目標を掲げている。これは高い目標だが、筆者は着実にその割合が増えていくと予測している。 筆者が考えるのは、社会全体で電動車を受け入れる体制を整え、それにともなって販売側の知識や顧客へのアドバイスが的確である必要があるということだ。これにより、車を販売するディーラーの責任も大きくなるだろう。
世代別アプローチの重要性
筆者がディーラーで働いていた2010年代と現在を比較すると、車の販売に対する考え方が大きく変わっていることがわかる。 2010年代には日産リーフが代表的なEVとして販売されていたが、現在では国内外に多くのEVの選択肢が存在する。それにともない、販売側はガソリン車、ハイブリッド車、PHV、EVのそれぞれの明確な違いやメリット・デメリットをわかりやすく説明しなければならないという新たな負担を抱えている。このことは、元職場で活躍している同期の話からも感じ取れる。 ただ車に関する知識を持っているだけでは、顧客の心をつかむことはできない。顧客がどのように車を使用し、EVを取り入れることで生活がどのように変わるのかを深く理解し、具体的なアドバイスを提供する必要がある。 コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスといった多様な価値観を持つ新しい世代へのアドバイスも重要だが、長年車を利用してきた中高年のユーザーに対しては、ガソリン車以外の選択肢を提案する際に、どのように納得してもらうかを考える必要がある。この点は、営業マンにとって大きな負担になるだろう。