人間関係には「工作活動」が必要? 元自衛官のぱやぱやくんが考える「ポジティブな工作活動」の実践方法 元幹部自衛官が教える人間関係のサバイバル術
戦場だけでなく、日常の人間関係でも「工作活動」は重要な役割を果たします。工作活動と聞くと、ネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、実はこれは「ポジティブ」にも活用できるのです。特に、誰かを褒めることで相手の評価を高める「ポジティブな工作活動」は、信頼関係を築くために効果的な手法です。本記事では、こうした人間関係における「工作活動」の有用性とその実践方法を、著者最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』から抜粋・再編集してお届けいたします。 【マンガ】社会という「戦場」で生き残るには…元自衛官が教えるサバイバル術はこちら! * * * 皆さんのイメージでは「戦争」とは銃弾が飛び交っている様子を想像するかもしれません。しかし、戦争とは、常に戦場で行われているだけではありません。 その代表例が、諜報員(スパイ)が行う工作活動です。 この工作活動と言うのは「人々をデマで煽る」とか「内通者を作る」、そして「機密方法を得る」などが代表的な行為となります。 このように聞くと、卑怯な活動のように聞こえます。 しかし、工作活動によって、戦いを有利に進めることができるのです。そのため、各国は諜報員を育成していますし、海外各国で活動を行わせているのです。 ここで余談にはなるのですが、「諜報員」と聞くと、ジェームズ・ボンドのようなスマートなエリートを想像する方も多いかもしれません。 しかし、本物の諜報員は「どこにでもいる普通のおじさん」のような特徴がない人が選ばれることも多くあります。 特に、ジャーナリストや大学の研究員など「さまざまなところに出入りできる職業」の肩書を持っているケースも多くあります。 さらに言えば、休日のフードコートで「250円のかけうどん」を一人で寂しそうにすすっている人が諜報員であるケースだってあります。 実は、そのように「一般社会に違和感なく馴染める人」こそが、諜報員向きなのです。
話を戻しましょう。 人間関係では、「ありのままの自分」では、上手くいかないことがたくさんあります。 だからこそ、本当の自分とは違う姿を演じることも必要になるのです。 たとえばですが、社会には不条理があふれています。「あいつは大学卒だから」と職場で目の敵にされたり、旦那の会社でママ友のヒエラルキーで苦しめられたり、「はい」か「イエス」の体育会系で、自分を出すと「生意気だ」と言われたり、とキリがありません。 なので、逆に「ありのままの自分」を保つためにも、人間関係に関しては、ある程度の工作活動を行っておくとよいでしょう。 具体的には、「ポジティブな工作活動をすべき」なのです。 つまり、誰かを陥れるためではなく、誰かを持ち上げることが、人間関係における工作活動の鉄則ということです。 本物の諜報員は「相手の失墜」を目標に行動します。しかし、相手を下げようとする行為は、極めて危険です。というのも「人を呪わば穴二つ」と言われるように、相手を貶ようとして失敗すると、自分の地位が地の底まで失墜し、コミュニティから排除されても仕方なくなってしまうからです。 そのリスクを考えて、人間関係で工作活動をするなら「相手の失墜」ではなく、「相手の名誉向上」につながるように行うべきなのです。 これは隠れて悪口を言う「陰口」の逆バージョンと考えるとわかりやすいです。つまり、「相手がいないところで褒めまくる」のが良いのではないでしょうか。 たとえば、カフェでちょっとくつろいでいるときに「課長はやっぱり責任感すごいよな」とか「田中さんは悪く言われているけど、シャイなだけで優しいですよ」と、誰かのプラスになることを言って褒めてみるということです。 不思議なことなのですが、その場にはいない誰かの話をすると、話した情報が本人に伝わりやすいです。そしてその話が伝わった本人は、直接言われる以上に嬉しいです。 また、たとえばですが、旅行に行ったときには、ちょっとだけ高価なお菓子を買ってみるのも効果的です。 あるいは後輩に「あんまり無理するなよ」と温かい缶コーヒーをあげるなどの行動も、非常に効果的です。このように「ご飯を食べさせてくれる人」というのは、本能にダイレクトに響くので、自然と好感度が上がっていくようになります。 多分「工作活動」と聞くとどこかネガティブなイメージが付きまといますが、やり方次第では、相手にとってもいいことがたくさんあります。 (ぱやぱやくん) ぱやぱやくん/防衛大学校卒の元陸上自衛官。退職後は会社員を経て、現在はエッセイストとして活躍中。名前の由来は、自衛隊時代に教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。著書に『飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る』(育鵬社)、『陸上自衛隊ますらお日記』『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(以上、KADOKAWA)など。
ぱやぱやくん