「この人がいたら絶対面白い」で選べば自然と障害者やマイノリティーがキャスティングに入ってくる『阿佐ヶ谷アパートメント』の制作の裏側
障害者という枠ではなく、あくまで個人
ーー確かに、番組を拝見していると、障害がある方、というカテゴリーではなく、ひとりの人間としてそこに自然に馴染んでいて、他の人との化学反応が起きるっていうのが、すごく豊かだなと感じます。 真野:障害者の枠があるとか、障害者として出るのではなくて、〇〇さんとして出る。誰しもが何かしらのマイノリティー性があるっていうのが、基本的な考え方としてはあります。 ーー番組を観ていて、出演者のジャンルの多様性もすごくあると思うんですけど、シニアの方がすごく元気でチャーミング。80歳近いのにすごく生き生きされているのが印象的です。本当に個性豊かな方ばかりですが、キャスティングで意識されていることはどんなところでしょうか。 真野:もちろんいろんな年代、性別、障害だったり、マイノリティー性ということも含めていろんな方が出るっていうことは第一義的にはあります。でも、この番組ならではなのは「麻雀部屋」※のような、一般の方が活躍できるところです。麻雀部屋のふたりは、ディレクターの実家のお店の従業員なんです。すごくステキな方々だったので、ちょっと来ていただきました。 ※麻雀好きのシニア女性ふたりの部屋 細川:バラエティー番組では、芸人さんたちが互いをいじったりけなしたりして笑いを重ねていくっていう手法があると思いますが、この番組では禁じ手というか、あんまりハマらないだろうなと思うのでやらないようにしています。そんな中、麻雀部屋のような一般の方の素朴な一言にすごくハッとさせられたり、大爆笑させられることがある。それはこの番組ならではなんじゃないかなと思います。
一方的にやってあげる、という構図にしない
ーー阿佐ヶ谷アパートメントでは、病気や障害のある方と、健常者が一緒に旅に出る企画があります。ハンデのある人とそうでない人がすごくフラットで、どちらかが助けてあげるという構図にならないのが印象的です。企画を作る上で制作側として何か意識されていることはありますか。 真野:スタンスの話になりますが、基本的にどちらが上に立つとか、何か教えてあげる、やってあげるっていうのではなく、お互いに気づきを持ち帰れるような組み合わせだったり企画になるように心がけています。 細川:障害のある人が今までできなかったことを旅で叶える、というのが企画のきっかけになることはありますが、ただ健常者の力を借りてやるっていうだけにならないように、双方にモチベーションとか、何か持ち帰れるものがあるかどうかというのは、企画段階でかなり議論した上で進めますね。
ヒオカ