「強者連合」セブン&アイとユニクロ 提携で両社は何を得るのか
店舗とインターネットの融合がなぜ必要なのか。藤元さんは今のアパレル業界の課題を次のように解説する。「ユニクロのような衣料品製造小売は、シーズンごとに新商品を出して大量に販売している。すると、必然的に余りセールを行う必要がある。一方で、近くのユニクロの店舗に行ったら、自分に合ったサイズ、色が無かったりする。つまり、欲しいものが欲しい時に手に入らないのが今のアパレル」。そこで、店舗ごとの在庫管理、インターネット通販の在庫管理を統合し、効率化する仕組みを作る必要がある。 そこで、ファーストリテイリングは2つの施策を行った。ひとつは、2014年10月に発表した大和ハウス工業との協業である。両社は東京・有明に共同出資による大型物流倉庫を建設している。あと10個以上建設する予定だというこの次世代型倉庫で、柳井社長は同インタビューの中で、「リアルの店舗で欠品している商品があったとしても、その場ですぐにバーチャル店舗でオーダーし、お客様が帰宅する頃には自宅に商品が届けられているというような、これまでとは全く違うショッピングの方法が一般的になる」とその可能性を語っている。 もう一つの施策が、今年6月に発表した、国際的コンサルティング企業アクセンチュアとの協業である。藤元さんは、アクセンチュアとの協業は人材面での理由が大きいと語る。「従来の採用では、デジタル革命に対応した人材の確保が難しい。ビッグデータ分析などが出来る人材をともに育て、H&Mに勝てる態勢を作る」と狙いを分析する。 そして、それらの連携と同じ文脈にあるのが、今回のセブン&アイとの提携である。ファーストリテイリングが目指してきた、「店舗とインターネットの融合」という施策は、「オムニチャネル」とも呼ばれる。オムニチャネルとは、いつでもどこでもネットでも店舗でも、一人ひとりのライフスタイルにあったサービスを受けられるようにする仕組みを言う。