「強者連合」セブン&アイとユニクロ 提携で両社は何を得るのか
7月末、セブン&アイ・ホールディングスとファーストリテイリングが業務提携に向けた交渉を進めていることが明らかになった。セブン&アイ・ホールディングスは、セブン-イレブンやイトーヨーカドー、西武百貨店などを傘下に持ち、コンビニの加盟店売上を含めた「グループ売上」が10兆円を超える巨大小売グループだ。一方、ファーストリテイリングは、「ユニクロ」、「GU」などを展開する国内最大手の衣料品チェーン。年内をめどに合意を目指すという今回の両社の業務提携は、それぞれどのような意図を狙ったものなのだろうか。コンサルティング会社D4DR(ディー・フォー・ディー・アール)社長で、インターネットビジネス、流通業界に詳しい藤元健太郎さんに話を聞いた。
セブンが1000億円投資した「オムニチャネル」を狙うユニクロ
両社は報道を受けて、「お客様に小売業の新しい価値を感じていただけるような革新的なサービスを提供すべく、複数の分野で業務提携に向けた話し合いを始めていることは事実」であるが、具体的な内容はまだ決定していないというコメントを発表している。 ファーストリテイリングがセブン&アイと提携する理由について、藤元さんは、「ファーストリテイリングには、現状のままではまずいという危機感があるのではないか」と推測する。同社が抱く危機感とは、ひとつは、現状の業態のままでは、ZARAやH&Mという世界企業と売り上げに倍くらいの差があり、柳井正会長兼社長が掲げる「2020年までに売り上げ5兆円」という目標の達成が難しいのではないかということだ。 もう一つの危機感は、国内市場における伸び悩みだ。「ユニクロ」の6月、7月の国内既存店売上高は、約3年ぶりに2カ月連続のマイナスとなった。東レと組んでヒートテックを作るなど、いい商品を作り、店舗を多く展開していく従来のビジネスモデルが限界に来ているのではないかと藤元さんは解説する。 同社が今年2月に公式ホームページ上で発表した柳井社長のインタビューで、柳井社長は「リアル(店舗)とバーチャル(インターネット)の融合」を目指すと述べている。柳井社長は、既存のユニクロのビジネスモデルを「リアルとバーチャルが融合する新しいサプライチェーンに作り変えなければならない時期に入っている」と言う。