野菜、ケーキ、揚げ物まで! 驚異の乾燥技術、フリーズドライ工場に単独取材㊦
「十中八九の人がおいしいと言ってくれるレベルを目指しています」。アマノブランド企画室課長補佐の三村真奈美さんは話す。
当然、商品化に至るまでには苦労も多い。たとえば、豆腐など調味液を吸う素材に対しては、味が濃くなり過ぎないようでんぷんで表面をコーティングする。ただ、味が薄ければ物足りなくなるため、でんぷんの量の調整が難しいという。
素材によってフリーズドライ加工しにくいものもある。豆類やかんきつ類など表皮があるものは水分が抜けにくく、練り物やもち、こんにゃくなど水分が少ないものは復元しにくい。
主力商品だったカップ麺の具材で使用していたかまぼこは、薄くスライスすることでクリアした。ほかにも、本来使う材料を似て非なるもので代用するなど「工夫が腕の見せ所」(三村さん)だ。
■果物、野菜、お菓子も
「こんなものもありますよ」。三村さんが出してくれたフリーズドライ食品に、思わず目を見張った。
なすやかぼちゃ、玉ねぎ、りんご…。パイナップルやドラゴンフルーツまである。子供向け企画で作った素材だという。実際の果物や野菜より一回り小さく、手に持つと断然軽い。よく見ると、乾燥しやすくするため、切れ込みが入れられていた。
果てはショートケーキまで。お湯で戻さずにフォークを刺すと崩れたが、口に入れるとスポンジ部分はクッキーのような食感で、これはこれでおいしい。生クリームは、「そのもの」の味がした。
最後に、ホタテとエビの串カツが出てきた。お湯に30秒ほど付けると、カツのサクサク感はなかったものの、少し固めの身に、味が凝縮されていた。
■目標は「炊きたてのご飯」
多種多様な食品をフリーズドライにするのは、画期的な新商品を開発するためだ。工場では昭和58年に発売したみそ汁だけでなく、おかゆ、にゅうめんなどを生産。平成26年以降は「一人鍋」、チキンカツ卵とじ、えび天入り鍋焼きうどん、煮込み風ハンバーグと、驚きの新商品を次々と世に送り出してきた。