【ビジネスの極意】「フィージビリティ・スタディ」とは?|フィージビリティ・スタディの流れ・メリット・事例を解説
フィージビリティ・スタディの始まり
フィージビリティ・スタディの始まりだとされているのが、1933年に設立されたテネシー川流域開発公社(TVA)です。当時、アメリカの大統領だったルーズベルトは、ニューディール制作の一環として、テネシー川流域のダム建設を提案します。その際の実現可能性の調査のために、テネシー川流域開発公社が設立されました。結果として、テネシー川流域のダム建設は成功し、電力の供給や水質向上などの恩恵をもたらしました。 これ以来、国家レベルの巨大事業において、フィージビリティ・スタディが採用されるようになりました。
フィージビリティ・スタディのメリットとは
フィージビリティ・スタディのメリットは以下の通りです。 ・市場リスクを事前に確認できる ・プレゼンや文書作成に役立つ ・事業の選択肢を絞り込める フィージビリティ・スタディの最大のメリットは、リスクを事前に検証できることです。事業の実現可能性を多角的に調査できるので、考えうるリスクを抽出できます。 そして、フィージビリティ・スタディで得られたデータは、そのままプレゼン・文書の作成に使えるため、ステークホルダーへの説明や、資金調達のためのプレゼンが効率的に進められるようになるのです。 また、フィージビリティ・スタディで事業を選別することで、事業の「選択と集中」にも繋がります。
フィージビリティ・スタディの流れ
一般的に、フィージビリティ・スタディは以下の通りに進められます。 1.新規事業の課題と目標を明確にする 2.リスクを評価する 3.代替案を明確にして評価する 4.フィージビリティを明確にする それぞれ詳しく解説していきます。 1:新規事業の課題と目標を明確にする まずは新規事業の課題と目標を明確にします。その新規事業がどのような課題を解決し、何を目標にするのかを明確にすることで、リターンがハッキリと見えてきます。 例えば、1兆円の投資が必要だとしても、リターンが10兆円になるのであれば、ある程度のリスクを許容できるようになるでしょう。 また、フィージビリティ・スタディが実施されるような事業は、いずれも規模が大きいため、新たな利権や中抜きが発生する可能性があります。そのような非効率的な運用を防ぐためにも、あらかじめ新規事業の課題と目標を明確にして、つけいる隙を与えないことが大切です。 フィージビリティ・スタディを実施する前に、まずは新規事業の課題と目標を明確にしましょう。 2:リスクを評価する 実際にフィージビリティ・スタディを実施する際は、以下の4つのフィージビリティを評価するのがいいでしょう。 ・技術的フィージビリティ ・財務的フィージビリティ ・市場でのフィージビリティ ・運用面でのフィージビリティ 技術的フィージビリティでは、新規事業を成功させるための技術開発が間に合うのかどうかを検証します。 財務的フィージビリティでは、コストとリターンが見合ったもので、資金が枯渇する可能性がないかを評価します。 そして、市場でのフィージビリティでは競合他社の動きや国際情勢を推測し、運用面でのフィージビリティでは現場目線でのリソースが足りるかどうかを検証するのです。 このように多角的にリスクを評価することで、考えられる全てのリスクを抽出できます。 3:代替案を明確にして評価する 新規事業を開始する前にフィージビリティ・スタディでリスクを評価できたとしても、実際に事業を進めていく上で、想定外の事態に陥ることもあります。そこで、あらゆる事態に対応できる代替案を明確にして、評価することが大切です。 例えば、エコエネルギー事業のリスクを評価する際は、技術開発がどれくらい想定から遅れたら事業を停止するかをあらかじめ決めておきます。また、バックアップとして原子力や化石燃料での発電を再開させるなど、リスクを補える代替案はいくつか考えられるはずです。 このようにバックアップ案を出した後に、それについてもリスクを評価することで、新規事業の対応力が強化されます。 4:フィージビリティを明確にする あらゆるアプローチでリスクを評価したあとは、フィージビリティを明確にします。 具体的には以下の評価項目が考えられます。 ・技術 ・予算 ・適法性 ・運用面での実行可能性 ・期間 これらの評価項目を明確にした後は、それに基づいてサマリーを作成し、関係者や公式ホームページに共有します。この際、リスクだけを評価するのではなく、それに見合ったリターンが得られるかどうかもサマリーに盛り込んだ方がいいでしょう。 事業は資金が枯渇しない範囲で、リターンがコストを上回れば充分に意義があります。それを表すため、リスクとリターンを明確にすべきです。 なお、サマリーはステークホルダーへの共有や投資判断に用いられるので、可能な限り分かりやすくするのがベターといえます。 難解なリスク評価も表やグラフなどで視覚化して、誰にでもわかるようにするといいでしょう。